疲労と眠気は誰にでも平等だ
ただ、ここ最近の俺は ほんの少しだけそれが軽い
"WRに乗れる"
それだけで
毎朝の通勤が楽しい
見た目もそうだし、足や車体のセッティングもだが
コイツは中身が強烈な分、適当に乗ろうとしても 色良い返事は返してくれない
少なくとも、俺からしたら
一発で目覚めるエンジン
正確で力強い、インジェクターと 頼りがいのありそうなメーター類に 軽く火が点く
寝ぼけた頭を置き去りにしそうな出足で、景色が蹴り飛ばされたように流れ出す
車の流れに飛び込むと
一瞬で速魚のように掻き分け出し、抜き始め
無色無臭の空気が、艶やかな風に
きちんとホールドしないと、放り出されそうな加速
簡単にブレイクしそうな減速
まだ、慣らしなのに
全開域なんか使ったら、どうなっちまうのか
まだイイ乗り方は構築出来ていない
そう簡単に出来なくてイイ
それだけの本物って事だ
7L程度のタンクは、100kmちょっとで簡単に「腹ペコだ」と喚き出す
IMSからビッグタンクも出てるらしいが、熱対策をきちんとやらないと フューエルポンプが簡単にイカれるらしい
ハイオク仕様な上に大喰い
それでも、段々愛着は湧き始めている
俺は、かなり人見知りだし 保守的だ
殻に閉じ籠ったり、尻込みしたり、表面に出したりしないだけで
相手がどうなのかは ジックリ時間をかけて見る
そうでないと思った人は、単に俺が「ビビっ」と来る人間だっただけだ
WRは トリッカーほど簡単に打ち解けられるヤツじゃない
実は、コイツを買うと決めた時
ヨコさんの店で試乗車に乗らせてもらい、軽くコケてしまった
冷えたタイヤや、寒い夜の路面もナメてはいたが
何よりもコイツから受けた"洗礼"のようだった
ヨコさんは、笑いながら「傷付いた外装の原価だけ貰うからな」
性能が良いって事は、妥協もスキも無いって事でもある
調子に乗って、頭をバチンとやられた俺は
納車の日から、ずっとコイツの様子を伺っている
逆に言えば
通勤するってのが、そのまま 分かり合う事に出来る事すら嬉しいし 楽しい
見てろ
いつか、乗りこなしてやるからな
見知った2~30分の道程
それが、全く違う景色になった
通勤時間も5分は速くなった
おっと
軽い登り下りの坂で
WRが跳ぶ
それは、ほんの僅かなジャンプだが
強靭なサスとフレームは、何事も無かったかのように アッサリと体制を直す
まるで、野生の駿馬のようだ
登校途中の小学生の女の子が
真ん丸な目を見開いて、コッチに釘付けになっていた
俺は、軽くウインクをして
アクセルを更に捻った
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