すかいうぉーかー -18ページ目

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND
























カトーが、まーたグダグダ言っていた





サスのセッティングが悪くて乗り難いだのなんだの

それを、イライラしながらたしなめるウッちゃん




実際、セッティングってのは大事である

三重の旦那もそういうのは重要視してるし
俺だってR1もWRも、納車の時の状態は 乗れたもんじゃなかった





まぁ、要は「黙ってやれよ」って事だ

「僕が遅いのは、サスのせいですよ」と、身振り口振りで周りにアピールする姿が 如何にみっともないかとか、分かんないもんかなぁ







悔しいとか、不甲斐ないとか
そういう気持ちは悪くないんだから、後は腕で語れば良い





俺は、モトさんにRVFのサスを見てくれと頼まれ
跨がった状態で、前後に荷重をかけていた






モトさんの場合は、もうかなり走れている
これだと、ちょっと柔らか過ぎかなと思い プリロードも圧も伸びもかけてみる


おっと、これ フロントは圧側しか無いのか






カトー「そっちが伸びですよ」



へー
まぁ、とにかく 硬くしとこう

速度は乗るコースだから、ブレーキ時は粘りが欲しいだろうし
ガタガタ路面のコーナーじゃ、もっとフワフワを無くした方がイイもんな






多分、コレで乗りやすくなったと思いますよ





モトさん「あざす!!」










カトー「パツさん。 コッチも乗ってみてもらえます?」




6Rか
そんなに乗り難いのか?




跨がってみると、コッチは逆に硬く感じた
良く分かんないけど、全然ストロークしてない


俺の感覚だと、ココは峠みたいなもんなので
もうちょいサスが動いてくれないと 怖い気がする



菅生を走った状態のままらしく
カトーは、それで走れないのが納得行かないみたいなのだ

“600使い”みたいな自負があるせいもあるのだろうが









世の中のセオリーは知らないが

初めてのコースを、慣れないバイクで走るのに
こんな乗り難い状態から初めたって、そりゃ厳しいんじゃないだろうか


10秒出したいなら、15秒をしっかりと走ってから サスを詰めるのが順序と言うか




とりあえず、「硬過ぎる」と感想を述べ
柔らかくする

でも、俺の好みがカトーにそのまま良い作用をするんだろうか







こんな事書いてはいるが
俺は、基本的にはサスはいじらないし

そこまで分かってもいない


よっぽど酷かったらアレだけど
面倒くさいので、ある程度詰めたら もうそれでマシンなりに走ってしまう

走る度に降りて、工具出してゴチャゴチャやるのとか
カッコ悪い



その感覚で、サーキットにも来てるのだ



そこで、イジらないと2秒縮まらないっつーなら
縮まらなくて結構なのだ








今回、俺がサクっとタイム出したのは
「いつもの峠道を、慣れたR1で走った」状態みたいなもんだからってだけなのである


だから、別に
もっとタイム出したきゃ

残りの3回も全部R1で走れば、8秒前後までは詰められる感じなのだが





カトー



カトー「はい?」





お前、R1乗ってみたら?







俺は、もう結構だった
今日は、レースやりに来たんじゃない


それなら他のも色々乗ってみたいし


こんなコースで、タイム詰めに行って
無駄に他人のバイクでコケるのも御免だ






今のは、硬くなってる皆に
慣れ親しんだ人間が、こんぐらいのタイムで走れましたよっつー基準を見せてやろうと思っただけである


特攻隊長の仕事は終わり





遊びに来たんだから
遊びたいじゃないか




タイム出したいなら、アレコレ乗らずに
同じ車両で『練習』するしかないのだ




そこら辺を勘違いしてると
カトーみたいに、ハマる事になる












3走行目が終了



カトーは駄々っ子のように6Rで飛び出して行ったが、タイムはからっきしで

「パツさん、次コレ乗ってくださいよ」とか言い出した



だからさ
このメンツの中で、俺にセッティングの基準とか求め出したら終わりだと思うんですけど









だが
俺は、6Rには乗らなかった




何故なら、カトーよりも先に先約が入っていたのだ




RVF


壊したら、パーツが無さそうだから嫌だと言ったのだが
モトさんに頼み込まれて折れた

















無茶しなきゃ大丈夫だろう
俺は装備を付けて、妙に納まりの良いコクピットに尻をドサッと乗せた








(続























カチャカチャ

トントン




開け放った窓からの涼風に
灯りを落としたベッドの上でウツラウツラしてたのが、軽く目が覚める


キッチンからの灯りに向かって起き上がると
しこまれた野菜スープの横で、ゆでたまごが3つ氷の上で冷やされていた


酢・醤油・砂糖がカップの中に次々に投入され
計量スプーンで混ぜられ






明日はチキン南蛮って言ってたっけ











「うるさい?」







どっちかっつーと
心地良いBGMだ




自分が食べるのが好きで
作るのが好きな人間が





そうすると、それは音楽になる















最近、バイクに対する想いが“静か”だ

昔みたいにガシャガシャしてない









「バイクが好きでたまらない」





そういうのを見ると、凄く懐かしくなる


自分の愛車は最高だ
バイクに乗る事はライフワークだ
一生走り続けるんだ




そんな感じのヤツ












“そんな事も無いんだよ”







素直にそう思う







人間が普通の人生を送る

普通とは何か
何の不満も無く、失敗も挫折も無い感じか?






んな事ぁ無い

もっとデカい振り幅で
喜怒哀楽も憎しみも恨みも理不尽も何でも有りのヤミ鍋


大体は、そんなもんだ





それでも、歳取って 仕事にありつけて
なんならパートナーや子供に恵まれでもすれば


角が取れた物体は、段々似たような形になって行く










バイクは?







いつかは飽きる

降りる

手綱を緩め、景色に目を向けるようになる







さもなきゃ、諦めた人が 取り返すように乗り始めたりもする









アラブさんが言っていた


「BMは、持ってたいんだ。 持ってるだけでイイんだ」



昔買って、すぐに乗らなくなったBMW

今は、車検も切れたまま 倉庫で眠っている





でも、俺は分かる


俺も、R1を“所有している”ってだけで
きっと全然違う



せめて、そこだけは なのだ

だから、よくよく考えてみれば
俺らは仕事やら生活やらを、何となくバイクに合わせている


サーファーが海の近くに住むかのように










乗り始めたばかりのライダー


何年続くか

何時降りるか





それとも、俺らみたいになるか























どれでも良いと思う






それが好きならば
きっと、良い音を出しているだろう































































うおおおおおおおおおおおお












↑ 前に京都で食べてから


ずーーーーーーっっと食べたかった














トップで1分10秒





ウッちゃん曰く
トップの3人辺りは、しょっちゅうエビスを走ってるらしいから

この辺が基準になるだろう


2位で13秒





アラブさんは、流石の安定感で16秒を出していたが
タニさんは23秒


俺は、R1で3~4周出来て18秒を出していた






カトー

モトさん

ターミが、なんとなく飲まれているのが分かる








ウッちゃん達は、1走行目が始まって すぐぐらいには、無事に到着していた

各自のバイクも降ろされ
2走行目がすぐに始まる






「うし」




俺は装備も脱がず、そのままもう一度R1に跨がった



「ちょっくら、2位取って来るわ」









12秒は出す






もう、俺の中では決定されていた





















さて、エビスサーキット 西コース

全長2km弱で1~2・3コーナーと最終以外は、回り込んだカーブの無い中速ぐらいのサーキットである




傾斜した下りのホームストレートを全開で駆け抜けると、目測を付けにくい複合の第1コーナー



アクセルを戻して右に軽く曲がりながら飛び込み
最後にクルッと回り込む所に焦点を絞って減速し、一気に向き変えをして 2コーナーへ


ここがまず、路面がガタガタで初めのウチは緊張するのだが
少しの距離でも加・減速はサボらない




立ち上がり全開
R1ならギアを上げずに引っ張り切って、上り坂を登りながら減速→左に倒し込む
結構な「傾斜」と「R」と「イン側の山によるブラインド」


先で誰かコケてたら、結構ヤバいのだが
しのごの考えても仕方なく

クリップを奥にするか手前から早目に加速するか、試行錯誤しながら曲がり+登り切ると
路面が空に向かって切れている


登り切ったらいきなり下り

加速は維持したまま、ジェットコースターのように掛け下り
右いっぱいに寄せて、アクセルを緩めずに左の高速コーナー


更にギアを上げる
右の高速コーナーが目の前に来たぐらいで、アクセルを緩めながら飛び込むと、すぐに左



そのまま緩やかに右に戻すと、一瞬の加速の後に最終のヘアピンがコチラに向かってスッ飛んで来る





気持ち良かった

デカいバイクなら、簡単にコースを攻略し始められる



トップは10秒だったが
なんとなく4~5秒がレーステンションのレベルな気がした


つまり、筑波と同じぐらいって事だ




楽しみながら、1つ1つ
自分の中に基準を作り、攻略して行く






だが、無理をするつもりは全く無かった



走行会

借り物のバイク

初めてのエビス




そして、このコース




無理する必要も、意味も無い




だが、そうこうしながらも

他の車両は勿論、ウチのみんなをもバンバン抜いて行く

















2走行目終了








ピットに戻る

他の皆は既に戻っていて、みんな上手く走れていないと、口々に話していた



メットを外していると、店長の奥さんがタイム計測の紙を持って来てくれた



俺は、グローブも外し傍らに放ると
ツナギを脱いで着替え始めた


流石に、汗が大量に出ていた








ウッちゃん「あれ?もう走らないの?」





ああ
1回休むよ




ウッちゃん「いいの? 走行5本だけだよ?」








うん

だって、出ただろ?タイム











みんなが、結果を見て息を飲む



















俺は、12秒をマークし
2位になっていた





(続



















カトー「あれ? もう、終わりですか」
















R1


出れるか













TZにスタンドをかけるやいなや



ツカツカとR1に歩み寄り、スターターを回す







半分は不満



そして、半分は期待だった





簡単に言うと、TZは“ココ”には全く合っていなかった


まず、ファイナルが全く合っておらず
ピーキーで過激なパワーバンドを生かす走りが全然出来ない

乗った感じ
確かに2ストの線の細さは少なめで、回転数が軸線に乗った時の加速は 頼もしい限りなのだが

CRに乗った時ほどの感動は無く




荒れて立体的な路面は、軽くて線の細いフレームとサスを、荒波に揉まれた小舟のように翻弄し

元から2スト経験の浅い俺の不安定感をどこまでも助長する






(面白くもなんともねぇ)



わざわざ、福島まで来て コレに乗る意味が全く無かった











アクセルを数回

勢い良く跳ねるR1のタコメーターに、いつもの頼もしさ










(冗談じゃねぇ。 やってられっかよボケが)








俺は、半ギレ状態のまま コースに飛び出した





怒りに任せて「スッ スッ」と、即座に感覚を摺り合わせ


厄介なB級品の路面に、重く頑強なR1の鉤爪を「ホラよ!!」と、食い込ませる




190のリヤが全体重を叩き付けて立ち上がった





致死量を振り切った加速

視界が薬物でも使ったかのように、簡単に歪む




迫るコーナーに、巨人の足のように強大な制動力をかけ


慣れ親しんだ感覚で車体をホールドし、スムーズにバンクさせ

ギャップやうねりをものともしない安定感で、コーナーをクリアする







血走った眼でニヤリと笑う















そう、コレだ




多少の不具合を吹き飛ばす



何処をどう通過しようが、簡単に辻褄を塗り潰す

シンプルな
















こんなコース




「力」で 捩じ伏せてやるよ









 



だが、ムカついただけではない



俺の感覚が、喚き散らしていた


ココは、デカいの向きだ」と










1周は大体筑波と同じ






それでもココは

完全に「伊豆スカ」だった







(続













「コースインの時は、1コーナーを曲がり終わった 最初のショートカットの先ぐらいから全開がイイんじゃないすか?」





「あ、そうだよねー じゃあその辺にしよっかー」









「ポストは何ヶ所で人が立つんでしょうか」





「ん? あー、えっとね。  えーと、あの辺とあの辺だったかな?」








・・・なんつーか

初めてみる牧歌的さ加減だった



今日の走行会を主催したのは、埼玉のバイク屋らしいのだが
そこの店長さんだろうか

えらいフワフワした、優しそうなおじさんである





エビスサーキットは、サーキットの名前は冠しているが

コース以外の施設は何にも無くて、年代物のピットと 古い旅館みたいなコントロールタワーにブリーフィングルーム


鉄骨や屋根のデッキは、あちこちに錆が浮き

夏ともなれば、虫だらけになりそうなトイレと自販機以外には本当に何も無い

15年くらい景色が変わってなさそうな感じである










昔、来た時にも思ったが
コースもなんつーか「峠」である




摩擦係数は知らないが、路面はもう公道のソレで

100psを越える200kg切りの猛獣がフル加速すれば、簡単にタイヤが跳ねそうだ





大きく回り込んだ3コーナーの先は、イン側の山でブラインドになって見えず

その先は急な登りで、更に先が見えていない

頂上を越えたら、ラグナセカのような下りカーブ




ギリギリのブレーキングの先に、白く砂のような物が浮いたヘアピンのクリップは

極限まで研ぎ澄まされた世界を

「そんなに、肩肘張るなよ」とでも笑い飛ばしてそうだ












俺「・・・良いな。ココ」



カトー「ですね」











走るだけ




まともなサーキットしか走ったことがないなんて人からしたら、怖くてしょうがないのかも知れないが


俺やカトーにしてみれば「デフォ」

対向車線や、一般車が居ないだけで
安全性は推して知るべし だ







「ポンダーとゼッケンでーす」


店長さんの奥さんが、数字のコピーされた紙とトランスポンダー(タイムの計測器)を持って来てくれた







(そっか
ポンダー借りれちゃうのか)






それならそれで、面白いは面白いのだが
みんながタイム競い出しちゃうから、リスクは上がる


俺的には、今日はそういうつもりは無かったのだが
まぁ仕方ないだろう









完熟走行として
3週


だが、俺らは着いたばかりなので
色々下ろしたりしながら、それを眺める


走らないからといって、何か言われる事も無い





威勢のイイ音が上がった
TZのエンジンに火が入った

混合燃料はタニさんが作ってくれた



ぶっちゃけ、この人かノムさんが居れば
メカ関係は全然問題ない



アラブさんも、自分のWRを暖気しながら ツナギに着替え始めていた

まぁ、最初はこの2人が出ればイイだろう








通常の走行が始まった
ピットロードを横切って、ピットウォールから眺める


「危ないから」とか、止める人間も居ない
全ては“自己責任”で




いいなぁ いいよ うん




















タニさんが、すぐに戻って来た

様子を見て終わりなのかな?





「パツさん、乗ってみる?」
































俺は、ニヤっと笑うと

ツナギの用意を始めた



(続















「お待たせいたしました!」




あ、そのフルーツトッピングなんちゃらクレープ包みください







「はい、ありがとうございます。コチラ、メッセージは何かお入れしますか?」




えーと
そうですね、ハッピーバースデーでも 入れて下さい







「かしこまりました♪  持ち歩き時間は何分ぐらいでしょうか?」





2~30分ですね


 





それでは、保冷剤を入れておきます。少々お待ちください」


















「お待たせいたしました。お先にお会計失礼します」




はーい









「ちょうどお預かりします!








コチラ、大変崩れやすいケーキとなっておりますので。お気を付けてお持ち帰りください」
















狂犬みたいな




単気筒バイクで帰るんですけど

























アラブさん以外は、倉庫から出発



トラックとハイエースで、待ち合わせの蓮田に着くと
WRが積んであるアラブさんのサンバーが停まっていた。





朝飯食って出発
俺は、サンバーの助手席へ

途中で休憩して、運転も代わる



久々なので、話題には事欠かない
最近のトレンドは「タイヤの潰しと押し付け」だそうだ

俺、、そういうの全然分かってないんだよなー





二本松までは200km近い距離で、軽のサンバーは せいぜい110km/h

他の2台はとっくに先に行ってしまっている







安達太良の辺りに差し掛かった時だった











あれ? 中央分離帯になんか停まってる





アラブさん「トラックっぽいね」




え? まさかウチの




アラブ「いやー、流石にそれは無いでしょwww」




















ウチのやー













慌てて左に停めハザードを焚く

20m程通り過ぎてしまったが、振り返るとウッちゃんとノムさんが乗ってるのが見えた

別に車体をぶつけたりはしてないみたいだ




ウッちゃんがジェスチャーで「先に行け」と、やっている













・・・。









ブリーフィングスタート15分前




俺達は、右前輪がバーストしたトラックを置き去りに

ライダー5人  マシン2台という状態で





エビスサーキットに到着した





(続