赤毛のケリー #10 | すかいうぉーかー

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND






「見た見た」


「R6だよな」




「え? ~さんじゃなくて?」


「違うよ、女なんだよ。赤い髪の」











それは、静かな


目に見えない程に細く、しかし関東一円を巡る程の 

黒くて鋭い、ワイヤーのような物で編まれた"網"





ある者は、夜半の松姫で


ある者は、早朝の外環で



火花をあげるステップ
薄ら寒い程の減速の無さ



棲息する"深度"により、印象も評価も様々だが

初めは性別で珍しがられていた黒いデニムの美しい腰つきも、徐々に認知のされ方が変わって行く





目黒線ですら、全開
背中には無限の、はっきりとした"目的意識"





アレは、本気組だ と







"速い"などと簡単に形容するには
各自の話をまとめた物が、強力過ぎるのだ




そして、ある時期から変わった
その排気音は

共生とは無縁
"契約"に近い、使役のごとき回転数を伴い













あまりにも、狂おし過ぎた












三芳の入口に滑り込み、目立たない所にR6を停め
フルフェイスを脱いで、上衣のジップを下げる


「ふう」




トウコは一息つくと、ブラックの缶コーヒーを買いに自販機へ歩き出した


















ポーチから出した財布が、手から落ちる





喉の辺りから肋の中心に、鋼鉄の杭が打ち込まれたような痺れ









黒い5PWでは無かったが



取り立てて特徴の無い
だが、タイヤやアンダーカウルの細かい傷








何よりも

見ただけで分かる、目に見えない









それは間違いなく、あの

























「何か?」
















振り返ると、均整の取れた体に浅黒く日焼けした男が








ブラックの缶コーヒーを持って立っていた






(続




 

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