west cabarret drive #6 | すかいうぉーかー

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CRAZY=SPELL−BOUND

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HONDA RS250


WGPの250ccクラスでも使われた、本当のコンペマシン




20年近く前
鈴鹿に出て来たばかりの彼が、金を貯めてようやくZXRから乗り換えた純血のレーサー



それはまさに“化け物”だったそうだ




あってはならない
そんな力と過激さ


説明しながら記憶を手繰る午前3時さんの目つきが変わる

こんな所で、刃物抜くなよ(苦笑)






でも、ここなんだよな

俺と彼が仲良くなったのって





初めて乗った日の夜は寝付けずに、そのまま飲みに行ったそうだ

俺はレーサーって意味では、CRの125やカートぐらいしか乗った事が無いが

それでも、想像は出来る




2ストのレーサーってのは、本当に次元が1つ違う

市販のバイクのような、初心者や下手くそを許容してくれる優しさは一切ない


その代わり
分かっている奴を、運ぶ力は神の領域だ



泣き言は一切通用しない出力特性

常に刃物を突き付けられているような危険



今の600や1000なんて、肉食ではあっても「猛毒」は持ってない





レース1回走る度に、イチイチ全バラして

そんな話、公道畑の俺からしたら諭吉がどんだけ飛んで行くのかって感じだが

年間のシリーズ戦に、金持ちのボンボンでもない彼らがどうやって参戦するか




住宅ローン組んだ奴もいるのだ







このマシンをどう乗るか

あのコースで、何をどうするか


それだけで、何年も

出来るだろう

かかるだろう







“みんなやっている”


“ついこの前までパドックで話してた人間が、普通にGPを走り テレビやバイク雑誌に出ている”


“バイト先に行けば、昨日のレースで疲れて居眠りする自分が許され”


“パーツに困れば、何処からか手に入る”



普通の人間が5~6万も払って買わなければならないタイヤですら、特別価格な上にツケが効き

気がつけば数百万の





街全体が

もはや、違う国


メーカーの人間は、ドラッグのバイヤーだ




結果を出せた奴はイイ

ステップアップして、遥か上に行けた奴はイイ



だが、それ以外は?




一度や二度、表彰台に上がれたぐらいで

8耐にライダーとして出た事があるからと言って



国際Aなんて、ゴロゴロ居るこの街で







何処で終わりにすれば?


どのタイミングが、キリがイイ?




特上のアッパー バッドトリップ無し


待ちぐるみの阿片履


一個人が自覚し難い常用性


気がつけば、体も人生(社会的に)もボロボロ








そんなもの無い

自分で決めるしか無い









「本当は、みんなやめたいんだよ(笑) でも、戻って来ちゃうんだ」









同じだ


公道だろうがサーキットだろうが




そして同じじゃない











同じバイク?












違うよ


全然違う






別に優劣があるとは思わない


でも、全然違う








俺と彼が“格好いい”と思う物は、かなり近い


それは“ロックフェス”であり“ナンバーガール”であり“ムーンアイズ”であり“TEXACOの看板”なのだが



バイクの外見をどうカスタマイズするか、とか
そういった趣味は、多分バイク乗りのカテゴリーでくくったら、ほぼ全く同じと言ってもイイ

逆に言えば、バイクの世界はまだまだ“ダサい”




それが
西と東に住み

全然違う仕事をしながら

同じようにバイクに狂って、年齢を重ね大人になり

熱病のような夢からは覚めて、それでもきちんと納得が行く程度のレベルには達し

“どう乗っていくか”を考えている
























「雪降って来たなあ」





「まあ、大丈夫でしょ」







地平の彼方に、うっすらと雪をかぶった尾根
昨日とは比べものにならない寒さ

鉛色の空からは、はらはらと儚げな白い粒



でも、もう近い






鈴鹿インターまで、真っ直ぐ行けば良い場所まで送ってもらい

「じゃあまた」
















手を上げると


俺は振り向かずに

地平の先を睨んでアクセルを開けた



(続