観測史上最高を更新し続ける世界の平均気温と海水温。
グテレス国連事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と警告しましたが、温暖化が進むと陸氷や海氷の減少(反射率が低下して太陽熱を吸収しやすくなる)、永久凍土が溶ける(CO2の30倍の温室効果のメタン放出)、海水温が上昇しCO2吸収能力低下、最も強力な温室効果ガスの水蒸気が増加などさらに温暖化を加速させます。
そして2018年に発表されたHothouse Earth理論では、産業革命以前の気温のプラス2℃を超えると臨界点を超え、地球は制御不能な暴走を始めるとされます。
※現在では氷河期という言葉は推奨されず、氷河時代(Ice Age)と言います。
※氷河時代には氷期と間氷期がありますが、現在は第4紀氷河時代の間氷期です。
氷河時代 - 地球上に大規模な氷床が存在する時代
氷期 - 氷河時代の中でも、特に氷床が拡大した時代
氷河時代には氷期と間氷期があり、一般的によく言われる氷河期という言葉は氷期のことを言います。
氷河時代の氷期と全球凍結(スノーボール・アース)を混同していることも多いですが、氷河時代の氷期と全球凍結は全く違いますし、原因も全く違います。
- 2010年代半ばは、"ハイエイタス"と言って1998年をピークに気温上昇が停滞していた時期でした。
- また2030年からミニ氷河期が始まるとする根拠とされる、2015年のヴァレンティーナ・ジャルコヴァ教授の発表があったのもこの時期です。
2015年に英国国立天文学会議で発表されたヴァレンティーナ・ジャルコヴァ教授の説によると、2030年からのソーラーサイクル26から太陽活動は、17世紀を中心とした近世の寒冷期であったマウンダー極小期並みに低下するとのこと。
2015年08月29日更新
そのために2030年から寒冷化するというものですが、太陽活動の指標は黒点数です。
太陽活動が低下するというと太陽からの日射量が低下すると思うでしょうが、日射量の変化はごく僅かで、大きく変わるのは太陽磁場です。
そして太陽磁場と温暖化の関係はまだはっきりしていませんが、太陽磁場が強まれば外宇宙からの宇宙線が減り、逆に弱まれば宇宙線が増えます。
スベンスマルク仮説によれば宇宙線は雲の核となるエアロゾルを形成し、外宇宙からの宇宙線が増えれば雲が増えて地球は寒冷化するとされますが、この関係はまだ実証されておらず現段階では仮説です。
いずれにしても10年近く前のヴァレンティーナ・ジャルコヴァ教授の説ですが、その後学術的には取り上げられていないようですし、それを補足する理論もデータも無く、10年遅れの寒冷化論、ミニ氷河期論と言って良いでしょう。
次にソーラーサイクルですが、太陽の黒点数は約11年周期で変化し、これをソーラーサイクルと言います。
そしてマウンダー極小期の次のサイクルから数え始め、現在はソーラーサイクル25です。
出典:Space Weather Prediction Center
私が温暖化に懐疑的だった2010年代半ばは、ソーラーサイクル24は寒冷化していたダルトン極小期並みに太陽活動が不活発で、ソーラーサイクル25も下図の赤線のように24と同様に不活発であろうと予測されていました。
そのため温暖化懐疑論者だった私は「2020年くらいから寒冷化に向かうのはないか?」などと考えたりもしましたが、結果は大外れでした。
出典:Space Weather Prediction Center
そしてNASAに太陽周期の予測を提供しているMarshall Space Flight Center (MSFC)の、そして先月6日にUpdateされた予測は御覧の通りで、太陽活動がマウンダー極小期並みになる可能性は極めて低そうです。
出典:Marshall Solar Cycle Forecast
という事で理論的にもソーラーサイクルの予測からも、2030年からミニ氷河期(正しくは氷期)となる可能性は無いでしょう。