日本のVPP(Virtual power plant:仮想発電所)は南の島から | 夢老い人の呟き

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台風3号の進路に近かった宮古島ですが、台風の被害が大きいからこそ、停電が多いからこそ、太陽光発電と蓄電池は必要です。

しかし住民にとって初期費用負担は大変です。

 

ところがVPP(Virtual power plant:仮想発電所)は住民負担ゼロです。

そういう事情からか、宮古島には日本最大のVPPが(仮想発電所)があります。

今回はこれを紹介しますが、最初に仮想発電所について説明します。

 

 

VPP(Virtual power plant:仮想発電所)

 

脱炭素、脱石炭火力発電が必須の時代ですが、メガソーラーや風力発電に対する反感が強い人もいるでしょうし、ソーラー発電は夜間は発電できない欠点があり、また出力が不安定であり、さらに送電会社の送電線容量の制約から発電を制限されるなど、いろいろと問題がありました。

さらに家庭の太陽光発電については、初期費用が大変です。

 

そんな欠点を補えるのが多数の小規模な発電・蓄電設備(家庭に設置した太陽光パネルと蓄電池)を連携させてネットワークを作り、それらを集中管理で制御し、あたかも一つの発電所のように作用させるのがVPP(仮想発電所)です

 

 

あまり聞きなじみが無いかもしれませんが、欧州では2010年台前半からあったビジネスモデルで、VPPが有名になったのは2018年にテスラ社と南オーストラリア州政府が世界最大のVPPを計画してからです。

 

 オーストラリアのサウスオーストラリア州政府は、同州内にある住宅5万戸を対象として、太陽光発電システムと電気自動車(EV)メーカーTesla(テスラ)製の家庭用蓄電システムなどを無償で提供すると発表した。この取り組みにより、総発電容量250MW/650MWhの「世界最大の仮想発電所」が誕生するとしている。

 

 設置するシステムは、発電能力5kWのソーラー発電システム容量5kW/13.5kWhの「Tesla Powerwall 2」バッテリシステム、スマートメータで構成される。各住宅のシステムは連携するようになっており、余剰電力の売電機能も備える。家庭への設置に必要な費用は、売電による利益で回収する計画。


電力をバッテリに溜める、余剰電力は売電(出典:サウスオーストラリア州政府)

 

以下省略

 

南オーストラリア州のVPPは次のように作動します。

  • 各家庭に太陽光パネルと蓄電池を設置し、ネットワークを作ります。
  • 日中ソーラーで発電し、蓄電池に蓄え、余った電力は売電します。
  • また電力が不足であればグリッドから供給します。
  • 夜間は蓄電池の電力を使用します。
  • 各世帯の太陽光パネルと蓄電池のデータを常時監視し、集中管理で制御して安定した電力供給します。

 

電力ユーザーにとっては太陽光パネルや蓄電池の設置が大きな負担になると思うでしょうが、それらは無料で提供されます。

設備費は月々の電力料金で償却されるので電力ユーザーには負担がかからず、しかも電力料金は安くなるというおいしい話しです

 

 

宮古島のVPP(仮想発電所)

 

日本最大のVPPを導入した宮古島。

東京都などの再エネ補助と大きく異なるのは、初期費用の住民負担はゼロというこ徒と各戸がネットワークとなり集中管理されるという事です。

 

 

実際の設置例や如何に役立っているかについては、こちらの動画をご視聴ください。

※東京都については単なる発電と蓄電で、VPPとは関係ありません。

 

 

気候変動のためでしょうか、台風災害で停電被害が増えており、地産地消の自家発電・VPPの必要性が高まっています。  

 

都市部にまでVPPを拡大できれば、石炭火力発電も原発も必要なくなるのではないでしょうか。

(電力会社にとっては死活問題かもしれませんが)

 

しかし現在のままではVPPを導入できる企業は限られており、ノウハウに長けたテスラ社のシステムや、安価な中国製の太陽光パネルなど、外資に占められてしまいそうです。

日本が生き残るためには、電力政策を出来るだけ早く方向転回し、日本企業の競争力を高める必要があると思います。