笹生優花さんと大阪なおみさんと多重国籍 血統主義と出生地主義 | 夢老い人の呟き

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笹生優花さん二度目の全米女子オープン優勝おめでとうございます。

2021年に史上最年少に並ぶ19歳で全米女子オープンを制し、今年は22歳と2度目としては史上最年少で優勝です。

 

 

表彰式で”YUKA SASO OF JAPAN”とアナウンスされたように現在は日本国籍ですが、お母さんはフィリピン人で、インタビューの受け答えでも想像がつくかもしれませんがフィリピン育ちです。

 

世界の半数以上の国は二重国籍を認めておりフィリピンも二重国籍を認めていますが、笹生優花さんもに日本とフィリピンの二重国籍でした。

 

最初の全米オープン優勝と同年の東京オリンピックにはフィリピン代表として参加しましたが、日本の国籍法では22歳までに国籍を選択せねばならず、現在は日本国籍です。

 

 

大阪なおみさんも日本とアメリカの二重国籍でしたが、ご存じのように2019年に日本国籍を選択しました。

 

日本人のお母さんとハイチ系アメリカ人のお父さんの間に生まれた大阪なおみさん、お父さんはハイチ人ですがアメリカの市民権を得てアメリカ国籍となりました。

アメリカというと後述の「出生地主義」で、アメリカで生まれた子供は自動的にアメリカ国籍となります。

大阪なおみさんもアメリカ生まれかと思ったら日本生まれで、3歳でアメリカに移り住んだとのことです。

 

 

米国の国籍法

 

なお米国の最高裁判所は、二重国籍を“法律上認められている資格”であり、“二カ国での国民の権利を得、責任を負うことになる”と述べています。

 

また外国籍を自動的に取得すること、又はそれを留保することは米国籍に影響を与えません

しかし、自ら申請して外国籍を取得した場合は、米国移民国籍法により米国籍を喪失する場合があります。

 

 

多重国籍を認める国、認めない国

 

世界を見ると多重国籍を認める、あるいは条件付きで認める国が主流で、下図の青は多重国籍を認める国、紫は条件付きで認める国、赤は認めない国です。

ご覧のように全く認めない国はごく少数派と言って良さそうです。

2018年のオランダのマースリヒト大学の調査によると、外国籍を取得しても自動的に自国籍を奪わない国が国連加盟国の75%に上がり、日本のように二重国籍を認めない国は少数派です。

 

出展:World Population Review

 

 

 

血統主義と出生地主義

 

アメリカのもう一つの特徴は出生地主義ということです。

日本などの血統主義は出生地に関わらず親と同じ国籍を取得するもので、親から子へ伝承されるべきであるという考え方に基づいていいます。

 

これに対して出生地主義は親の国籍および滞在資格(合法・非合法・永住・一時滞在)に関わらず、その国で生まれた子には自動的に国籍を与える方式です。

憲法修正第14条で「アメリカ合衆国で生まれ、あるいは帰化した者、およびその司法管轄権に属する者はすべてアメリカ合衆国の市民であり、その居住する州の市民である。」と定めていますが、外交官の子供は例外です。

 

下図の青色が出生地主義の国ですが、南北アメリカ大陸は殆どが出生地主義です。

 

アメリカやカナダの人口が増え続けているのは移民受け入れだけでなく、出生地主義の影響も大きいと思います。

移民にとってはアメリカの経済力とともに、生まれた子供がアメリカ国籍となること、さらに出身地がフィリピンのように二重国籍を認める国であれば両国の国籍を持てることは凄く魅力で、優秀な人材を受け入れることに繋がっていると思います。

出展:Wikipedia出生地主義

 

なお後述の日経新聞の記事には二重国籍者が89万人と書かれていますが、二重国籍者がどれほどの数いるかは分かっていません。

日本政府は国籍の選択義務を定めていますが、実際に選択したかどうかを把握していないためです。

 

 

国や企業、海外で働く人にとっては二重国籍を認めた方が得

 

二重国籍、日本に「89万人」 世界は容認、企業に利点 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

以下引用

日本と米国籍を持つテニスの大坂なおみ選手の活躍で「二重国籍」への関心が高まっています。生まれながらに両親の国籍が異なるなど、複数の国籍を持つ人への対応は国によって異なります。日本は22歳までにどちらかの国籍を選択することにしていますが、欧米諸国は二重国籍であり続けることを容認しています。こうした違いをどう考えたらいいでしょうか。

 

そもそも二重国籍者がどれほどの数いるかは、分かっていません。日本政府は選択義務を定めつつ、実際に選択したかどうかを把握していないためです。例えば二重国籍者が日本籍を選んでも、もう1つの国籍の離脱を認めない国があることなどが背景にあります。グローバル化の進展により、二重国籍の可能性がある人は増えているようです。政府は戸籍の情報などから、国籍の選択を予定する人の数を約89万人としています。

 

移民受け入れが日本より進む米国や欧州、オセアニアなどは二重国籍を原則として容認しています。名城大学の近藤敦教授によると、理由の1つは、2つの国籍の片方を捨てさせるのは「欧米では、人権侵害にあたるという考え方が根強い」(近藤氏)ためです。

 

もう1つは、二重国籍を容認した方が、国や企業にメリットがあるためです。移民の受け入れ国にとっては自国籍も取得させたほうが、国の運営をしやすい利点があります。グローバル展開する企業も社員が二重国籍であった方が、就労ビザなどの取得に手間がかかりません

 

海外で働く日本人研究者の中には、外国政府への補助金の申請の必要などから外国籍を取得し、日本国籍を捨てざるを得ない人がいます。大阪経済法科大学の武田里子客員研究員は「国籍の選択を求める日本の制度は、海外で働く人にも厳しい状況を強いている」と指摘します。

 

以下省略

 

ツイッターでは都知事選に蓮舫さんが出馬したことから、二重国籍に関するコメントがたくさん飛び交っています。

とっくに解決済みの事で攻撃する反蓮舫陣営もさることながら、脳みそにカビが生えたような日本人の二重国籍に対する感覚もなんとかならないものでしょうか。

 

 

海外を見ないから日本はデジタルやAIなど先端技術で遅れる

 

日本人の感覚が海外と大きくずれるのは、海外を見ようとしないからだと思います。

そしてそれは同時にAIやデジタルはじめ、最先端技術に対する情報に触れる機会を乏しくしています。

 

例えば前記事の自動運転にしても日本の現状はアメリカや中国から大きく遅れています。

ところがテスラにしてもウェイモにしてもバイドゥにしてもほとんど情報が無く、ほとんどの人が日本の自動運転は世界の最先端だと思っています。

 

職人の技術のような分野では海外を気にせず、国内だけ見て技術を磨いてゆくことができます。

しかしデジタルやAIに関しては欧米や中韓など、世界にアンテナを張って最先端の技術を取り入れてゆかないと取り残されてしまいます。

それが日本の生産性の低迷、競争力の低下という結果になっているのではないでしょうか。