在イスラエル大使館法とイスラエル遷都、キリスト教シオニズムとハルマゲドンとキリスト再臨と福千年 | 夢老い人の呟き

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多くの日本人が誤解している政教分離の原則。

「政教分離の原則」とは、国家と宗教は切り離して考えるべきであるとする原則であり、 憲法では‟第20条(信教の自由)1項後段および3項”、‟第89条”に規定されていますが、これは国が信教の自由を妨げたり、国が宗教的活動を行ったり、宗教団体に特権や便益を与えてはいけないというもの。

 

これを宗教が政治に関わってはいけないと誤解している人も多いようだが、宗教団体や信者たちが政治に関わるのを禁じるものではありません

但し、国およびその機関が宗教活動をしたり、議員が便宜を図ったりすれば憲法に反することになるがその線引きは曖昧です。しかし公職にある政治家が特定の宗教のイベントに参加したり、スピーチをするのは如何なものだろうか?

 

それはともかくドイツの 「キリスト教民主同盟(CDU)」や「キリスト教社会同盟(CSU)」 のように、党名にキリスト教を冠する政党も少なからずあり、日本人の考える政教分離は世界の常識とはかけ離れているように思います。

というよりも米・欧・中東の政治を動かしているのは宗教であり、宗教を理解せずに米国の政治や中東の情勢を理解するのは無理ではなかろうか?と思います。

 

 

米議会とトランプとエルサレム遷都

 

イスラエルの首都はどこだと思いますか?

イスラエルはエルサレムを首都と宣言し、首相官邸や国会など首都機能もここにあります。

 

しかしエルサレムはアブラハムの宗教(ユダヤ教・キリスト教・イスラム教)のいずれにとっても聖地であり 東エルサレムの旧市街地は、ユダヤ教徒、キリスト教徒、ムスリム(イスラム教徒)がそれぞれ多く住む地区に分けられています

 

このため日本を含め国際的にはエルサレムをイスラエルの首都と認めず、実質的な首都はテルアビブとされ、各国の大使館もテルアビブにあります。

 

 

ところがこの均衡を破ったのがトランプ元アメリカ大統領で、2018年にエルサレムをイスラエルの首都と承認し、在イスラエル大使館をエルサレムに移転しました。

 

これはイスラエルにとっては願っても無い事ですが、混迷の中東情勢に新たな火種となったと思います。

パレスチナはじめイスラム教国にとっては許しがたい事でしょうし、キリスト教カトリックの総本山、ローマ教皇もエルサレムの聖地への自由な往来を呼びかけています。(ローマ教皇、エルサレムの聖地への自由な往来を呼びかけ

 

 

なぜトランプはエルサレムをイスラエルの首都と承認したのか?

 

じつは米国議会は1995年にすでにエルサレムをイスラエルの首都と認め、大使館をエルサレムに移転させる法案を成立させていたのです。

◎1995年に米議会で‟ JERUSALEM EMBASSY ACT OF 1995 ”(エルサレム大使館法)が上下両院ともに圧倒的多数で可決されていました。

  • 同法は、エルサレムをイスラエル国家の首都と認め、エルサレムを分割されていない都市にするよう求め、大使館をテルアビブからエルサレムに移転するものです。
  • しかし、この法律は歴代の大統領が法律の適用を「国家安全保障」の理由で6ヶ月毎に先送りするのを許可しました。
  • そしてクリントン大統領、ブッシュ大統領、オバマ大統領によって繰り返し先送りされ更新されました。
  • しかし2017年6月、福音派の強い支持を受けたドナルドトランプ大統領が法案に署名し、実施したのです。

 

陰謀論者はアメリカの政治を動かしているのはネオコンNeoconservatism :新保守主義)だの軍産複合体だの、DS(Deep State:闇の政府)だのと言います。

 

しかし1選挙区につき当選者1名の完全小選挙区制の米国の議員選挙で、実際に議員を当選させ動かしている、最も大きな組織は宗教(福音派)です。

  • 福音派はプロテスタントの非主流派とされるが信徒数は35%と最も多く、カトリックは浮動票が多いのに対し、福音派は最も強力な票田となっている。

 

 

米議会と福音派

 

福音派 キリスト教プロテスタントの非主流派で、 いわゆる福音主義に基づくキリスト教を信仰する宗派で構成されています。

福音主義とは、19世紀中頃に英語圏諸国で生まれた自由主義神学」に対抗する形で生まれた神学体系です.

  • 自由主義神学では、例えば聖書の解釈においても科学的な見方を採用し、天地創造やノアの箱舟などの物語を寓話または神話としています。また、聖書そのものに対して批評的な研究も行い、聖書を絶対の真理とする「聖書無謬説」の立場をとりません

〇福音主義は、自由主義神学のそうしたリベラルなスタンスに真っ向から対立し、キリスト教信仰の原点回帰をする立場で聖書は絶対的な経典であり、そこに書かれていることはすべて真実であるとします。

また、イエス・キリストが唯一の救い主であり、そのすべてを肯定して信じるということです。

 

福音派プロテスタントは、極端なまでの「聖書・キリスト絶対主義者」、「原理主義」と言って良いと思います。

 

 

そこでアメリカの宗教・宗派別の人口を見ると、“米国の安全保障政策と宗教の関連性 ―米国政治における宗教ナショナリズム”によるとプロテスタントが55%を占めるとの事。

  • プロテスタント 55%
  • カトリック 25%
  • ユダヤ教 2%

ところが福音派はプロテスタントの非主流といっても、アメリカで進化論を支持する人が多数派となったのはつい最近のこと

 

という事はアメリカは、いまだに科学よりも聖書を絶対視する人が半数近くいるということでしょう。

そして プロテスタント主流派(米国聖公会、メソジスト、ルター派など)が20%を占めるのに対し、プロテスタント非主流派の福音派(バプティスト、ペンテコステ、長老派など)は35%を占める多数派勢力。

 

しかもカトリックは浮動票が多いのに対し、プロテスタントの福音派は選挙の際には強力な票田となる。

 

そしてアメリカの選挙制度は1選挙区につき当選者1名の完全小選挙区制です。

仮に7割の人が進歩的で多様な考え方の国民であっても、進化論を信じない人が3割いれば、勝つのは進化論を信じない層の票を獲得した候補者です。

 

そうして選ばれた議員が集まったのが連邦議会。

よって連邦議会はキリスト教シオニズムとなり、‟ JERUSALEM EMBASSY ACT OF 1995 ”(エルサレム大使館法)が上院93対5叫び、下院374対37叫びという圧倒的多数で可決されたのは当たり前の結果でしょう。

 

では聖書を絶対の真実と信じる人たちは、なぜにシオニズムなのか?

 

 

キリスト教シオニズムとユダヤ人帰還とハルマゲドンとキリスト再臨

 

 イエスが神と交わした新たな人類救済の契約である『新約聖書』は、➀福音書(マタイの福音書、マルコの福音書、ルカの福音書、ヨハネの福音書)、➁歴史書(使徒の働き)、③パウロ書簡(ローマ人への手紙~ピレモンへの手紙)、④公同書簡(ヤコブの手紙~ユダの手紙)、⑤黙示録(ヨハネの黙示録)~からなります。

 

◎そして福音書がキリスト教の聖典の核心であるとされますが、 『新約聖書』の中で唯一預言書的性格を持つ書が黙示録で、キリスト教における終末論が述べられている書です。

 

その黙示録19章に書かれているのがイエス・キリストの再臨です。

 

 

聖書の内容は漠然としており、教派により解釈が異なりますが、いろいろ書かれていることを要約すると天に昇ったとされるイエス・キリストが世界の終わりの時に、キリスト教徒を天へ導き入れるため、また、世界を義をもって裁くために再び地上に降りてくるという事のようです。

 

反キリストとの最終戦争ハルマゲドン(※ハルマゲドンは アブラハムの宗教における、世界の終末における最終的な決戦の地を表す言葉 であり、イスラエルのメギドの丘の意味)で、ユダヤが敗れそうになった時、イエスが降臨キリスト教が勝利し、ユダヤ教徒もキリスト教に改宗し、異教徒は滅び、至福の千年となるのです。

 

そしてその前提条件はユダヤ人が約束の地カナンに帰るこであり、シオニズムはそのための条件づくりなのです。

 

 

世界は最終戦争に向っている?

 

また田中宇(たなかさかい)氏は2004年に書いたキリストの再臨とアメリカの政治の中で次のように纏めています。

聖書は見方によってはかなり現実と合致しているように見え、現在のイスラエル―パレスチナ情勢を見ると恐ろしくなります。

 

前略

 

▼イスラエル建国で始まったキリスト再臨への道

 私が見るところ、米政界でイスラエル支持傾向が強まった原因は、ユダヤ系米国民自身の投票行動よりも、むしろイスラエルを支持するキリスト教右派勢力(キリスト教原理主義、福音派プロテスタント)の動きであると思われる。彼らは、米国民の15-18%を占め、共和党だけを見ると党員の33%を占めており、ユダヤ系よりもはるかに大きな勢力である。("Iraq and the Christian Zionists"

 

 この派閥のキリスト教は、聖書のヨハネの黙示録などに書いてあることがそのまま現実になり「最後の審判」「キリストの再臨」が起きる日が来ると考えている。起きるとされていることを順番に書くと、以下のようになる。

 

(1)ローマ帝国によって滅ぼされたユダヤ人の国イスラエルが再建され、世界に散っていたユダヤ人が再び集まってくる。
(2)イスラエルは強大になり、ユダヤ人が神から授かったと聖書にあるユーフラテス川からナイル川までの「約束の地」を領土として持つようになる。
(3)現在イスラム教の「岩のドーム」と「アルアクサ・モスク」があるエルサレムの「神殿の丘」に、ユダヤ教の神殿(第三神殿)が建てられる(モスクと岩のドームは破壊される)。
(4)
その間に反キリスト教の勢力が結集し、イスラエルとの最終戦争になる。その際、全世界の王(指導者、軍隊)がイスラエルの「メギドの丘」(ハル・メギド、ヘブライ語で「ハルマゲドン」)に召集される(メギドはイスラエル北部のハイファ近くの地名)。
(5)最終戦争でイスラエルが滅びそうになったとき、イエス・キリストが再びこの世に現れる。
かつてイエスを信じず十字架にかけさせたユダヤ人は、今やイエスを救世主と認めてキリスト教に改宗し、信者にならなかった異教徒は焼き殺される。その後、1000年間の至福の時代が来る。

 

(実際には、聖書にこれらの出来事が順番に明確に書かれているわけではない。旧約と新約の中のいくつかの節を並べて解釈していくと、このような未来の展開が読み解ける、という解釈の世界の話である)

 

 これらの出来事の流れをふまえた上で、実際に起きた出来事を振り返ると、歴史が聖書の記述の通りに展開していると考えることが可能になる。1948年にイスラエルが建国した時点で(1)が成立し、1967年の第三次中東戦争でイスラエルがヨルダン川西岸、ガザ、シナイ半島を周辺国から奪って占領した時点で(2)が始まっており、昨年のイラク戦争も(2)が進展していることを表すとともに(4)を誘発している。中東和平交渉が座礁した2000年、イスラエル右派のリクード党首だったシャロン(現首相)が「神殿の丘」に強行的に上がり、パレスチナ人の怒りをかってテロを誘発したのは(3)につながる行為で(4)を誘発する意味があった。

 

以下省略

 

 

そして現在はこれまでで最もハルマゲドンに近い状況かもしれません。

 

 

 
イスラエルが孤立すればするほど、「イエス・キリストの再臨」にふさわしいシチュエーションとなりそうです。