次のニュースの内容は物凄くショッキングです。
このニュースの論文が誤りであることを願うばかりです。
世界でこのまま温室効果ガスの排出が続けば、大西洋の海水が表層で北上し、深層で南下する南北循環(AMOC)は今世紀半ば、早ければ2025年にも停止する恐れがあるとの研究結果が報告された。
筆者注)AMOC:Atlantic Meridional Overturning Circulation(大西洋の表層で北上し、深層で南下する南北循環)
デンマーク・コペンハーゲン大学の物理気候学者、ピーター・ディトレフセン教授らが25日、英科学誌ネイチャーに発表した。
――中略ーー
この現象は、今から1万2000年以上前にも起きていた。氷河が急速に解けてAMOCが停止し、北半球の気温は10年のうちに10~15度も変動した。
AMOCの停止は地球上の全人口に影響を及ぼすと、専門家らは指摘する。
以下省略
夏場にイギリスを訪れた人は、陽の長い事に驚くと思います。
なぜ夏場陽が長いかというと緯度が高いからですが、ロンドンというと東京と同じくらいだろうと思っている人も多いのではないでしょうか?
ところがフランスは北海道よりもずっと北にあり、アイルランドやイギリスはさらに北にあります。
また雪と氷に覆われたグリーンランドの東にあるのはアイスランド。
雪と氷に覆われたグリーンランドと、アイスランドやノルウェーやスウェーデンとの違いはなぜなのか?
メキシコ湾流は海水温が高い北赤道海流に起源を持ち、カリブ海およびメキシコ湾に入り、フロリダ海峡を通って再び大西洋に流出し、その延長は暖流の北大西洋海流となり北上し、ヨーロッパやアイスランドを温めます。
そして北上した北大西洋海流は北極圏グリーンランド沖で冷えて、比重が重くなり沈み込みます。
これがAMOC:Atlantic Meridional Overturning Circulation(大西洋の表層で北上し、深層で南下する南北循環)で、‟熱塩循環”によって地球を巡ります。
図出典:海洋大循環とは
ところが近年温暖化で北極圏やグリーンランドの氷が溶け塩分が薄くなり、冷えても沈み込み難くなっており、そのため北大西洋海流は弱まってきました。
北大西洋海流が弱まると高緯度ヨーロッパは寒冷化すると思われますが、どうもそんな単純ものではなさそうです。
上の図を見ると表層海流が沈み込むのは北極圏グリーンランド沖だけで、これが弱まる、あるいは停止すれば世界中の表層海流が影響を受け、気候が激変する可能性があるということになります。
12000年前にAMOCが停止した時には北半球の気温が10年間に10~15℃も変動したとの事ですが、これは恐ろしすぎます。
もっとも私は今世紀半ばまでは生きていませんが、若い人たちはもっと真剣に考えた方が良い思います。