空気が読めず同調能力が無い私には馬鹿げて見えますが、外国人労働者の在留資格の見直しについて、右も左も大反対のようですね。
以下引用
政府は18日、人手不足が深刻化する14業種で定める外国人労働者の在留資格「特定技能」のうち熟練者について、事実上、在留期限を撤廃する方針を固めた。これにより、農業、製造業、サービスなど幅広い分野で、永住権を取得できる外国人就労者の範囲が拡大される。政府は来年度中にも制度見直しの閣議決定を行う方向で調整する。
以下省略 引用終了
技能実習と特定技能の違いが分からず混同して騒いでいる人も多いと思いますが、技能実習生が令和元年10月末で38.4万人に対して、特定技能在留外国人は今年6月現在でたったの29,144人という状況。
これはアメリカのグリーンカード(永住カード)取得者が1390万人もいるのとは、比較にさえなりません。
出典:特定技能1号在留外国人数
日本にはいまだにバブルの頃のように、羽振りの良い日本に外国人が来たがっていると思っている人が多いようです。
しかし自分が海外に住み、OFW( Overseas Filippino Workers:海外労働者)の国に住んでいて感じるのは日本の地盤沈下です。
フィリピンも私の知る範囲では、英語の出来る人たちは皆アメリカやアラブの国に行きます。
次に英語が通じるという事。
さらにアメリカでしたら永住資格、市民権が取れる(フィリピンも二重国籍を認めるので、両国の国籍を持てる)ということがあります。
アメリカのグリーンカード(永住カード)取得者は2019年時点で1390万人いますが、そのうち910万人はアメリカ市民になる資格があります。(Wikipedia ‟Green Card”より)
ですから白人の比率はさらに下がってゆくでしょう。
アメリカの経済と人口を支えているのは移民であるともいえますが、対して日本はどうでしょうか?
外国人が増えると賃金が下がる、治安が悪化する、国が滅びると騒ぐ人もいますが違うでしょう。
それならアメリカもドイツもとっくに滅びてますし、日本よりもっと低賃金になっています。
労働生産性の低さを賃金抑制で補い、国際競争力を保ってきた日本企業。
賃金が上がらないのは非正規雇用を増やした政府の労働政策もありますが、一番の根源は労働組合でしょう。
1960年代は労働運動の黎明期で経営と戦う労組がどんどん生まれました。
しかしやがて企業は第二組合を作り、第一組合の組合員を弾圧する企業が増え、労使協調路線の労働組合・企業が増えました。
かつて日本には「総評: 日本労働組合総評議会」と「同盟:全日本労働総同盟」の二つの大きな労働組合のナショナルセンターがありました。しかし総評、同盟の二つのナショナルセンターを含む4つのナショナルセンターが合同し「連合:日本労働組合総連合会」が誕生したのが1989年。
そして失われた30年・・・・・労組は賃上げよりも雇用と企業利益を優先してきました。
労組が戦わず政府に賃上げしろというのは、お門違いでしょう。
政府が直接出来るのは公務員の賃上げや、介護や看護職の公的価格を引き上げて賃上げさせるくらいでしょうが、公的価格を引き上げるのにも批判があり、国民が足を引っ張ります。
■生産年齢人口割合低下
日本の人口の推移を見ると総人口はまだ減り始めたばかりであるのに対し、生産年齢人口は1997年から減り始めています。
そして生産年齢人口割合は1990年頃をピークに減り始め、2019年に59.5%、2065年には51.4%となる見込みです。
出典:日本の人口の推移
■年金扶養比率低下
こういう日本の現状、将来の見通しを改善する方法があるのでしょうか?
日本がどんどんスタートアップ企業が生まれ、GAFAやテスラのような企業が生まれるような国なら良いのですが、デジタルが苦手な国民性では期待するのは無理でしょう。
ドイツは2017年時点で人口8274万人中、外国人が957万人と外国人割合が11.57%となっている。
これはEU(7.5%)の中ではスイス(24.6%)、オーストリア(14.4%)に次ぐ外国人比率ですが、ドイツの特徴は難民が多いことです。
ドイツ憲法(‟ドイツ基本法”)の‟第16a条 [庇護権]”には「政治的に迫害されている者は、庇護権を有する」と定められており、‟数字で見る難民情勢(2020年)”によると難民受け入れ数は世界第4位の120万人となっています。
ちなみに日本が2020年に難民に認定した人数は47人です。
これを増やすと「テロが起きる」の「国が滅びる」のという人がいますが、それならドイツは1万回滅びているでしょう。
そのドイツで2016年に出生率が急増し、「小さな奇跡」と評されましたが、出生率が急増した原因は移民でした。
2016年に生まれた新生児のうち18万4660人、全体の23%の母が外国人だったのです。
以下引用
「小さな奇跡」の裏側
ドイツの人口は2017年9月時点で8274万人*1と、欧州連合(EU)のなかで最も人口の大きな国である。うち、ドイツ人が7316万人、外国人が957万人であり、外国人の割合が11.57%となった。ドイツにおいて人口に関する議論は、移民や難民の受け入れと切り離せない。2011年9月から2017年9月までの6年間のデータ(図表3―1)をみても、人口全体は約3%(243万人)増えたが、その内訳はというとドイツ人は84.6万人の減少、外国人は328.1万人の増加である。
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過去25年分の出生率の推移(図表3―2)をみても、外国人の方が一貫してドイツ人よりも高い。しかし、1990年代から2000年代にかけてと、2010年以降はグラフの形が異なっている。ドイツ人の出生率は、1995年に1.2で底を打ったのち、やや上昇して横ばいになり、最近3年では1.5近くまで少しずつではあるが戻してきている。それに対し、外国人の方は、2009年までの約20年間は大きく減少した。1991年には2.0を上回っていたのが、2009年には1.57まで低下したのだ。それが、2011年に急上昇して、2016年には2.28と、一気に2.0を超した。この結果が、2016年のドイツ全体における出生率の跳ね上がりにつながった。2010年以前と比べ、出生率のもともと高い国出身の女性がドイツで子どもを産むケースが増えてきていることを示している。
新生児の母の4人に1人が外国人
2016年に生まれた新生児のうち18万4660人、全体の23%の母が外国人だった。2011年以降に生まれた子どもの内訳をみると、この比率は17%程度で推移していたが、2015年に20%を超え、2016年はさらに大きく伸びた。ドイツでも母親の年齢の中心は30代であるが、その30代の人数を移民が約10%押し上げているというデータもある。州や自治体によってバラツキがあることを考えると、小さい赤ちゃんとお母さんは外国人ばかりにみえる地域もあるだろう。ここで確認しておきたいのは、母親がドイツ人という子も増えていることだ。これは全体の人口の増減とは異なる傾向である。
ドイツ連邦統計局では、子どもの国籍別人数も発表している。外国人の子ども全体でみると、主には欧州諸国だが、最近シェアや伸びの大きい10カ国分の内訳によると、図表3―4のとおり、2016年までの6年間、一貫して単独で最も多いのはトルコである。2015年までは、次に多いグループはポーランド、ルーマニア、コソボといった東欧諸国だったが、2016年に急上昇したのがシリアである。東欧諸国の絶対数も伸びてはいるものの、こうした目立った状況も、ドイツの難民受け入れに対する人々の考え方に影響を及ぼしていないとはいえないだろう。
以下省略