アンドロイドTVとCoocaaと東芝 | 夢老い人の呟き

夢老い人の呟き

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世界中でフィリピン人ほど誕生日を大事にする民族は、他にいないと思います。

他の国ならば「創立○○周年アニバーサリーセール」などと銘打つでしょうが、ここでは「LAZADA BIRTHDAY SALE」となります。

 

そのバースディセールで目に付いたのが65インチのアンドロイドTVで、昨日まではEXTENDED BIRTHDAY SALEで1000ペソ引きの33990ペソ(75000円くらい)という破格の価格です。

 

アンドロイドTVとは何ぞやはさておいて、COOCAAというブランドは中国家電通?の私も知りませんでしたが、現在LAZADA売れ筋ナンバー1だそうです。

私が驚いたのは価格もさることながら機能が素晴らしく、しかもジャパンテクノロジーと謳っています。

はて、COOCAAというメーカー、多分中国社には間違いないだろうが、日本企業とはどのような関係だろうか?と興味を惹かれます。

 

 

■横道に逸れますがNANDフラッシュメモリー

ところでNANDフラッシュメモリーをご存じでしょうか?

カメラやパソコンはじめ諸々の機器に使用されているメモリーで、1980年代に東芝の舛岡さんという天才的なエンジニアが発明し、東芝の稼ぎ頭でした。

※ただし東芝経営陣は商品化に消極的でしたが、これに目を付けたサムスンが大規模投資をして世界ナンバーワンとなってしまいました。

 

しかし東芝という会社、素晴らしい技術を持ちながら経営陣に恵まれず、「馬鹿な大将、敵より怖い」でしょうか、経営の失敗が続き、原発事業失敗後、虎の子の半導体部門も売却されました。

 

 

■東芝とCOOCAAの関係

という経過を見るとテレビ部門はもっと早く売却された、と思うでしょうがそのとおりです。

2017年に 中国電機大手の海信集団(ハイセンス) に株の95%が売却されています。

 

しかし「レグザブランドは残っているじゃないか」と思うでしょうが、 東芝映像ソリューション株式会社がハイセンスの子会社として残りました。

 

そして先月ブランド名が変更となりました。

東芝の社名は残っていますが、役員は副社長3人以外は中国人の構成です。

 

ではCOOCAAは?というと、2016年に東芝のインドネシア工場が中国の大手テレビメーカー、創維集団(スカイワース) に買収されました。

このインドネシア工場はタイ向けの製品を作っていますが、スカイワースが東芝タイに代わり、タイ国内の量販店で東芝ブランドのテレビ販売を始めました。

 

そしてスカイワースのテレビブランドがCOOCAAなのです。

というわけでCOOCAAと東芝が繋がりましたが、こういう経緯を見ると悲しくなります。

なお東芝の凋落には企業会計の不透明さ、不適切な会計処理によって大きな業績を上げた人が役員会で選ばれて社長となるなど、日本式経営の弊害が表れています。

 

 

■アンドロイドTVとSoC

ところでアンドロイドというとまるでスマホみたいですが、ボイスコントールが出来たり、家電をコントロールしたりエンターテインメントに使えたりと、もはや爺の理解を超えたところまで進歩しており、中を見ればCPUやらGPUやらメモリーやらついており、まるでスマホやPCみたいです。

 

そして先日書いたSoCですが、今時のテレビの心臓部ともいえそうです。

出典:半導体って何? まったく何も知らない人も、絶対にわかる解説をしてみよう

 

 

ここまで読むと嫌な予感ガーンがする人もいるかと思いますが、当たりですグッド!

2019年時点でSoCの世界シェア一位はアメリカのクァルコム、2位は台湾のメディアテックです。

アンドロイドTVのSoCでもメディアテックは強いようです。

半導体で強すぎてアメリカに叩かれた日本はどこにいった・・・・・・しょぼん

 

出典:2019年 SoCシェア率TOP5が公開!いつまで続くQualcommの首位

 

 

しかし今やスマホのSoC1位は台湾のメディアテック

 

メディアテックは半導体の設計をするファブレスメーカーですが、半導体を製造するファウンドリのトップはこれまた台湾のTSMC。つまり台湾は半導体の設計でも製造でも世界のトップと言えます。

 

 

■シャオミとメディアテック

日中台を見ると、新しいビジネススタイルを生み出せなかったのも、日本の敗因のように思います。

 

中国スマホの黎明期、中国では「靴屋も明日からスマホメーカーになれる」と言われたそうですが、その原因となったのがメディアテックです。

 

台湾では、優秀なソフトウエアエンジニアが不足しており、メデイアテックは中国本土に目をつけ、中国本土から優秀なソフトウェアエンジニアを片っ端から雇ったそうです。

こうして開発した制御ソフトウエアとSoCをセットにし、スマホの設計図である「レファレンス」をつけ、さらに推奨部品リストまで添付して売りました。

その結果、中国では大した開発費もかけずに、そこそこの性能のスマホを、極めて安価につくれるようになり、中国地場メーカーが台頭し、格安スマホが急速に普及し、勝ち残ったメーカーがシャオミなどです。

 

 

中国を共産主義(歴史上共産主義を実現した国はありませんが)だと思っている人が多いですが、それでは中国との競争には勝てないでしょう。

中国の強みは重要な部門には国のバックアップもありますが、それよりも‟製造2025”のように国のプランが明確でしっかりしている事や、一番の強みはとにかくスタートアップ企業数(日本流にいえばベンチャー企業数)が多い事があげられます。そして熾烈な競争を勝ち上がって来るから、強い企業が残ります。

 

 

 

下図左はスタートアップ企業に対する投資額(ベンチャーキャピタル)とGDPの比率ですが、中国は郡を抜いています。

右図はユニコーン企業( 評価額が10億ドルを超える未上場のスタートアップ企業 )数ですが、米国に匹敵します。

 

出典:スタートアップ国際比較。各国を代表するユニコーン企業

 

 

さて、話がずいぶん飛びましたが、日本の製造業が負けないためにはどうすれば良いか、政府には頑張ってもらいたいと思います。

そのためには選挙でしっかりした政治家を選ぶこと、また官の透明性を高め、官僚の質を高める必要があるかと思います。