レバノンで起きた物凄い爆発事故。
小型の戦略核並み言われたほどの爆発力の凄さから、外部から爆発物を持ち込んだテロや他国からの攻撃はあり得ないと思っていましたが、“硝酸アンモニウム”2750トンと見られているとの事。
こんなにたくさんの爆発物が6年間も、安全対策が取られず、一か所に貯蔵されていたとは恐ろしくなります。他人事とせず、全世界とも工業原料の貯蔵について、見直す必要があると思います。
スゴイと思ったのはこのツイッターです。
Quantian@quantian1CHEMISTRY FACT: Explosives have characteristic "detonation velocities" at which shockwaves expand. Smartphone vide… https://t.co/LAPdpq1YEH
2020年08月05日 01:04
"detonation velocities"は爆発速度ですが、スマホの映像から爆発速度を約3000m/sと計算し、それに当てはまるのは硝酸アンモニウム(Ammonium Nitrate)であると推測しています。
- 硝酸アンモニウムの“RE係数”( TNTの爆発熱と当該の爆薬の爆発熱の比)は0.42。
- よってTNT equivalent=Ammonium Nitrate x 0.42 ≒1155Tonということで、TNT換算約1155トン、広島に投下されたリトルボーイの約1/15というとんでもないエネルギーのようです。
陰謀論者は「テロに違いない」、「イスラエルかシリアの攻撃」などと言い、アメリカのトランプ大統領も「米軍としては『攻撃』による可能性があると考えている」とホワイトハウスでの記者会見で述べたそうです。
トランプ大統領で思い出すのはアフガンに投下させた、アメリカ最大の爆弾“全ての爆弾の母: Mother of All Bombs(MOAB:モアブ)”ですが、大きすぎて爆撃機には乗らず、C130などの大型輸送機の後部胴体下部の貨物扉からパレットごと投下します。従って防空戦力の無い相手にしか使えませんが、これもあり得ないでしょう。
なおロシアをこれに対抗して“全ての爆弾の父:Father Of All Bombs(FOAB:フォアブ)”を開発しています。
どちらも輸送からしか投下できず、弱い者いじめで、対空戦力を持たない相手にしか使えないのではないかと思います。
きのこ雲(英語でMushroom cloudというのですね)から原爆の映像を思い出した人もいると思いますが、広島に投下されたリトルボーイの核出力は15キロトン、つまり15000トンです。
レバノンの事故もTNT換算でキロトン級ですが、外部からそんなに大量の爆発物を持ち込むのは不可能でしょう。しかし元々国内に貯蔵されているものを狙えば、僅かの爆発物でも多大な被害を与えることは可能です。
人口が密集した工業国にはターゲットとなる可能性のある施設がたくさんありそうです。