パキスタン航空 PK8303墜落事故【後編】 あまりにも意外な可能性 | 夢老い人の呟き

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概要のおさらい

22日、 ラホール(パキスタン北部、インド国境近くの都市)から乗員乗客合わせて99名(第一報の乗員8名、乗客99名から訂正されました)を乗せカラチに向かったパキスタン航空PK8303便は、午後2:30頃ジンナー国際航空近くに墜落しました。

 

最初に事故に至るまでの記録を見てみると、この一度着陸を試みGo Around(着陸復行)して(※動画の1分の所)上昇しています。

 


 

 
 
 
さてここからが前編の続きですが、あまりにも意外な事実です。
 
この写真をご覧ください。
最初の着陸を試みた後、上昇した後の写真ですが、両エンジンの下を擦っています。
滑走路にエンジンをついた後、エンジンをハイパワーとして離陸したことを示していますが、これは何を意味するか?

出典:PAKISTAN Aviation

 

 

交信記録を見ても最初の着陸でパイロットは全く異常を感じずに着陸しようとし、突然Go Around(着陸復行)しています。

もしもLanding Gear(着陸脚)が出ていない事をパイロットが認識していれば、空港当局にEmaergenncy

 Landingを要請します。そして上の写真のダメージは着陸前にはなく、エンジンが接地後に加速(運用上許容される最大出力)して着陸復行したように思います。

このため両エンジンにダメージを負い、またエンジン火災に至り両エンジンが停止した(あるいは消火作業のため停止した)のではないかと推測されています。

 

 

ちなみに飛行中に両エンジンが停止しするのは極めてレアケースで、過去の事例(パイロットのミスは除く)で思いつく原因は3つくらいしかありません。

  • 激しい乱気流による失火。(これは航空機メーカーは想定済みで、両エンジンの発電機が停止してもエンジンを再始動できるように蓄電池で作動する非常用の電源を設けています。
  • 鳥の大群に突っ込む。(これは有名な“ハドソン川の奇跡です)
  • 燃料切れ(昔、燃料計の故障で燃料を過小に搭載し、墜落した事例があります)

 

 

 

そして墜落前にはLanding Gear(着陸脚)は出ているのが目撃されています。

 

エンジンからのスモーク及びエンジン下部のダークマークが確認されています。

またRam Air Turbineが出ていますので、この時はすでにエンジンは停止していると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

考えられる原因はパイロットがLanding Check Listを行わず、Landing Gear Downの操作を忘れたということでしょうか。

しかしLanding Gear が出されないままフラップをランディングレンジにセットすれば、Horn と Red Alert のランディングウォーニングが発せられ、これはリセットできませんので嫌でも気がつくと思います。

実際はどうだったのかフライトレコーダーとボイスレコーダーの解析が行われれバすぐにはっきりすると思います。

 
 
なおヒューマンエラーは航空機メーカーにとっても航空会社にとっても難しい問題で、機体の故障で両エンジンが停止するという確率はあり得ないくらい少ないですが、人間が原因で止まってしまう可能性はあります。
 
次の動画の事故は離陸時に右側エンジンが停止してしまいました。
プロペラ機の場合はエンジンが停止した場合、プロペラの抵抗が最も少ないフェザーポジションにするために、パイロットは停止したエンジンのフューエルコントロールレバーをシャットオフポジションにしなければなりません
ところがこの機の乗員は間違って正常な左側エンジンのフューエルコントロールレバーをシャットオフポジションにしてしまいました。