アメリカのタックスヘイブン トヨタが進出したテキサス州も? かくして日本は貧しくなる | 夢老い人の呟き

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2016年、“パナマ文書”が問題となった。

以下“世界に衝撃を与えた「パナマ文書」わかりやすく解説すると…”より引用

地中海のマルタ共和国で10月16日、パナマ文書をもとに政府を追及していた女性ジャーナリスト、ダフネ・カルアナ・ガリチアさん(53)さんが自動車に仕掛けられた爆弾で殺害された。

 

パナマ文書とは、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した、モサック・フォンセカの40年に渡って記録した1100万件以上の文書の電子データで、世界各国の首脳や富裕層が、英領バージン諸島、パナマ、バハマなどを初めとしたタックスヘイブン(租税回避地)を利用した金融取引で、資産を隠した可能性を示していた。 21万以上の団体の情報が記載され、分析の結果、各国の首脳や首脳経験者12人を含む政治家など140人がタックスヘイブンを利用して金融取引などをしていた。

 

その中の1人、アイスランドのグンロイグソン首相は2016年4月に辞任した。

パキスタンのナワズ・シャリフ首相も2017年7月に辞任した。

さらに習さんやプーチンさんや日本の話も出てきますが、長くなるので省略します。

以下省略

 

しかし、この時アメリカではアメリカ国内のタックスヘイブンが問題となっていた。

以下“世界最悪のタックスヘイブンはアメリカにある”より引用

 だが実は、オバマが立つホワイトハウスからたった160キロのところに、れっきとしたアメリカのタックスヘイブンがある。デラウェア州だ。米東部のこの小さな州には、人間よりも多くの企業(公開・非公開)が存在している。最新の集計では、人口89万7934人に対し企業数は94万5326社だ。

 

 デラウェアは、株主の権利保護を主眼に法律を整備し、巨大で複雑な公開会社を呼び込んでいる。

 

 デラウェアのペーパーカンパニーに隠されている所得がどれぐらいあるかを正確に把握することは不可能だが、匿名会社の数を見れば、海外のタックスヘイブンに引けを取らない。

【参考記事】パナマ文書、中国の現状を解剖する

 

 デラウェアのどこがそんなに魅力的なのだろうか?

「企業に優しい風潮」と企業に特化した司法制度が、企業弁護士たちの巨大なネットワークや経営者を優遇する法律と相まって、デラウェアは租税回避者にとっての「夢の国」になっている。

 企業がデラウェアに行ってしまうおかげで、他州は税収を何十億ドルも損している。また秘密の匿名会社設立をもくろむ人々も多い。こうした会社を通じて租税を回避する個人や法人のせいで、連邦政府には計り知れない税収ロスが生じているのだ。

 

 米内国歳入庁(IRS)は、2006年における「タックスギャップ」の総額を4500億ドルと推定しており、うち3760億ドルは所得の過小申告のせいだとしている。

【参考記事】NYタイムズですら蚊帳の外、「パナマ文書」に乗り遅れた米メディア

金融秘密度ナンバーワン

 またタックスヘイブンに反対する英民間団体タックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)は2009年、「金融秘密度指数」のランキングで、ルクセンブルクとスイスを抑えてアメリカを1位に挙げた。TJNは、その理由のひとつはデラウェア州だとしている。

「われわれの分析では、アメリカは最も深刻な地域の1つだ。改善はほとんど進んでおらず、透明性向上の取り組みの脅威となっている」と報告書には書かれている。「秘密度指数が2015年の6位 から3位に上昇した米国は、2013年以降に評価が悪化した数少ない国のひとつだ」 

以下省略

 

アメリカのデラウェア州はタックスヘイブン!?法人企業が集中する理由
以下引用

アメリカで二番目に小さいデラウェア州の大きさは栃木県と同じくらい 。

デラウェア州の人口は2017年で96万人 。

しかし企業数は100万社。

フォーチュン500にリストアップされている企業の6割が本社を置く。

デラウェア州の大法官府裁判所(court of chancery)が企業が抱える係争を100年以上で蓄積した先例をもとに迅速かつ企業有利に判決してくれる。

スイスの銀行よりも秘匿性が高い。


しかし、2016年当時で実質的にタックスヘイブンといわれるのは、デラウェア州だけではありません。

個人住民税のない州はアラスカ州、フロリダ州、ネバダ州、サウスダコタ州、テキサス州、ワシントン州、ワイオミング州の7州であり、法人住民税がない州はネバダ州、ワシントン州、ワイオミング州、テキサス州、サウスダコタ州の5州があります。

 

 

■テキサス州は法人税・所得税が無い

 

北米トヨタが移転先に選んだテキサス州。

人口と経済規模(GDP)で、シリコンバレーを有するカリフォルニア州に次ぐ全米2番目ですが、じわじわとカリフォルニア州を追い上げています。

トヨタの販売部門の本社の移転により、カリフォルニアのトーランス市は雇用全体の5%強が失われ、テキサス州では6000人の新規雇用がもたらせられますが、その他、日本企業では三菱重工業、クボタ、大和ハウス工業などが本社機能の一部または全部を移転 します。

 

なぜ企業がテキサス州に移転するかは“なぜトヨタはテキサスに 米国の「未来の断片」”、“トヨタを呼んだ米テキサス州「圧倒的な2つのメリット」”をお読みいただきたいと思いますが、テキサス州には法人税と所得税がありません。

 

但し、法人税、所得税共に連邦税と州税があり、連邦税は課されます。

 

 

■アメリカが日本のタックスヘイブン化?

 

ところがトランプのレパトリ減税に伴い、法人税は21%に減税されました。

  • アメリカは日本などと違って、海外子会社の利益にも課税します。
  • しかし利益を本国に還流(レパトリエーション)するまでは課税されませんでした。
  • このため、グローバル企業は利益を海外にため込んでいました。
  • トランプはこの制度を廃止する代わりに、利益還流時の税率を一度だけ35%から15%にする、レパトリ減税を行いました。

これにより、たとえばアップルが国外に滞留させている巨額の資金を本国に戻すのに伴い約380億ドル(約4兆2000億円)の税金支払いを見込まれました。

 

2017年の“「タックスヘイブン対策税制」”改正により、タックスヘイブンのペーパーカンパニーの利益など、従来よりも厳しく国内利益と合算課税されることになりましたが、州によっては日本よりも法人税率が低く、しかもスイスやルクセンブルクの銀行よりも秘匿度が高く、金融秘密度世界ナンバーワンのアメリカ。

日本企業のタックスヘイブンとなるのではないかと心配されています。

 

そしてグローバル企業の海外子会社の利益は配当益として本社に還流しますが、外国子会社配当益不算入制度” により、海外子会社から還流する配当益の95%は課税されません。北米トヨタの配当益もたった5%しか課税されませんので、グローバル化が進むほど日本の政府は貧しくなります

それでもトヨタの海外生産比率は65%くらいと低い方で、ホンダや日産に至っては80%強が海外生産です。

 

 

21世紀の資本の著者、ピケティ教授が来日時に言った言葉、「民間はかつてないほど豊か、貧しいのは政府」という言葉はそのとおりだと思います。(但し貧乏爺は蚊帳の外ですが)

そしてこういうグローバリズムへの反感からトランプのような大統領が生まれてしまいましたが、結果は反グローバリズムではなく、排他主義と保護貿易。

世界は悪くなる一方のような気がします。