過去の「地震の実績」も「活断層が無い」も、「地震安全地帯」を意味しない | 夢老い人の呟き

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熊本地震を覚えておいででしょうか?

下図は地震後すぐに削除されましたが、 「企業立地ガイドKUMAMOTO」 というWEBサイトには熊本は地震安全県として企業誘致がされていました。また地震保険の保険料が全国最低ランクであった事からも分かるように、一般的にも地震安全県と捉えられていました。

 

【企業立地ガイドKUMAMOTO:現在は削除】

 

 

そして震源に近く震度6弱の千歳の工業団地のWEBサイトもご覧のとおりです。

 

 

 

 

北海道千歳市工業団地」より引用

 

 

しかし決して熊本県や千歳市が間違ったデータを紹介していたわけではありません。

過去のデータから「地震安全地帯」としてして誘致していたのも、従来の常識からいえば間違いではありません。

ただ、「地震発生件数が少かった処は地震安全地帯」だとしてきた、従来の常識、世間一般の見方が間違っていたのです。

 

 

 

活断層が無ければ地震は起きないか?

 

日本には活断層が2000くらいあるそうですが、未知のものまで含めると6000以上あるだろうといわれます。もっとも、未知のものがいくつあるかなど分かりようがありませんが・・・・・。

 

それはともかく、熊本地震と北海道胆振(いぶり)東部地震では、活断層が無ければ安全という従来の常識も覆されました。

熊本地震では地震後新たな断層が現われましたが、未知の活断層が動いたのか、はたまた地震によって断層ができたのか?・・・・・・これについては後述の石橋先生の説明をお読みください。

北海道胆振東部地震でも活断層とは無関係  地震調査委が見解  刺激の可能性は否定できず注意呼び掛け、少なくとも既知の活断層とは関係ない事が分かっています。

 

 

しかし!!!

 

地震テクトニクスの専門家であり神戸大学名誉教授の石橋克彦先生は、活断層が無くとも地震は起こるとしています。

 

「変動帯の日本列島で高レベル放射性廃棄物地層処分の適地を選定できるか? 」より引用

ーー前略ーー

活断層がなくても大地震は起きる

 推進側は、活断層だけが地震を起こす、日本の主要な活断層は概ね把握されている、候補地で詳細な調査をすれば未知の断層も確認できる、という考え方に立ち、地震の起きない場所が広く存在すると主張する。しかし、この見解は根本的に誤りである。

 日本列島の上部地殻(深さ15 ~ 20 kmより浅い部分)には大小無数の割れ目・亀裂・弱面・断層面があるそれらが単独に、あるいは繋がって、ズレ破壊(面の両側の岩盤が急激に逆向きにズレ動く破壊)をするのが地震である。破壊面をその地震の「震源断層面」というが、その大小が地震の規模(マグニチュードM)の大小である。非常に大まかにいって、震源断層面の長さが50 mならM1、500 mならM3、5 kmならM5、50 kmならM7、500 kmならM9となる(幅は一般に長さの1/3程度)。 そして、日本列島全域と周辺海域で例えば約350年間に、M1以上の地震は2億個、M6以上は2千個、M7以上は200個、M8以上は20個、M9以上は2個発生する(いずれも概数)。

 

 陸域の上部地殻でM7程度以上の地震が起こ ると、震源断層面のズレが地表に顔を出して 「地表地震断層」を生ずることが多い。「活断層」 というのは、最近数10万年間に地下の同じ場所で大地震がくり返し発生し、地表地震断層が何度も現れて累積して、地表付近で断層として認識できるものを指す。当然そこでは将来も地 震が起きると予想される。

 しかし、地震の際に震源断層面が地表に顔を出さず(地表地震断層が生じず)、活断層が形成されない場合も少なくない。その場合は、活断層が認識されていないのにM6 ~ 7クラスの 地震も起きることになる。

 その実例として2000年鳥取県西部地震(M 7.3)がある。今年4月13日の淡路島の地震(M 6.3)も同様だが、報道では「未知の活断層で 地震発生」と言われることが多かった。しかし、 活断層は「見えてこその活断層」だからこの言い方は不適切であり、「活断層がなくても大 きな地震が起こる」と認識することが根本的に重要である。(活断層の捉え方や言い回しに 関しては、残念ながら専門家の間にも混乱がみられる。

以下省略

 

 

以下「日本学術会議/高レベル放射性廃棄物の処分に関する検討委員会 第6回/2011年6月29日(水)/石橋資料2 」より引用

 

という事で、要約すると活断層が無くとも地震は起きますし、「未知の活断層が動いた」という言い方は正しくなく、「活断層が無いのに地震が起きた」というべきです。

 

 

 

しかし北海道は火砕流の堆積物や火山灰の堆積した地層が多いですが、それがこういう結果を招いたのでしょうか?

 

 

科学や技術で自然を征服できるなどと傲慢な考えは持たず、自然を畏怖し自然の声を聴きながら共存してゆくしかないのでしょうか。

これをインフラのせいだ、緊縮財政のせいだという人もいるようですが、頭がおかしいとしか思えません。

 

インフラに関していうなら、原発による人災が最も怖い。

福島第一原発事故について当時の原子力安全委員長だった班目春樹氏は次のように語っています。

いま一度「最悪の事態」を話そう(下) ~ 「日本が3分割される」より引用

「最悪の場合は、吉田さんの言う想定よりも、もっと大きくなった可能性があると思います。福島第一が制御できなくなれば、福島第二だけでなく、茨城の東海第二発電所もアウトになっていたでしょう。そうなれば、日本は”三分割”されていたかもしれません。汚染によって住めなくなった地域と、それ以外の北海道や西日本の三つです。日本はあの時、三つに分かれるぎりぎりの状態だったかもしれないと、私は思っています」

しかし人間は本当に破滅するまで懲りないものかも知れません。