日本のEV用バッテリーのロードマップは数年遅れていた。 | 夢老い人の呟き

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今日のYahooニュースに 進むEV用バッテリー開発、「1充電で走行距離2倍」「コスト半減」は叶うか? という記事がありましたが、その中にこういう記述がありました。

「現在、EV用バッテリーの主流はリチウムイオン電池(LiB)である。そのエネルギー密度は100~150Wh/kg、つまり電池1kgで100~150Wの電球を1時間点灯させられる電力だ。現在開発中の第2世代LiB200~300Wh/kg、2020年代に実用化が予想される第3世代LiBは300~350Wh/kgが可能になるといわれる。 」

以下省略

 

これを読んで「ええ~?」と思いました。

2017年の記事とは思えません・・・・・・

 

下の図は2013年の東洋経済の 「バッテリーはどこまで進化できるか?」 からの引用ですが、NEDO( 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の開発目標を基に作成された車載用電池の開発ロードマップです。

 

出典:バッテリーはどこまで進化できるか?

 

この図の2020年を見て下さい。

エネルギー密度は上の記事と同じ250Wh/㎏で「リチウムイオン電池の性能限界?」と書かれており、電池コストは2万円/kWhです。

 

 

■最初に紹介した記事もこれと同じようなロードマップに基づいていると思いますが、現実はどうか?

テスラがモデルSまでに使用してきた18650電池はエネルギー密度250Wh/kg 、電池パックのコストは190$/1kWh (1キロワット時当たり約2万円)以下と公表されていますが、実際には100~150$といわれます。

つまりNEDO国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のロードマップ2020年の開発目標はすでに2016年に達成されて市販されています。

 

そして、先日書いた テスラ・モデル3 に使用された新型の2170電池は、18650電池に比べ体積は1.5倍で容量は2倍に増えていますので、さらにエネルギー密度は上がっており、電池コストは25%低減されていると公表されています。

日本のロードマップは少なくとも4年位遅れているようで、そういうロードマップに基づいていろいろ論評されていますが、これでは日本はどんどん置いてゆかれます。

 

2170電池については次の動画をごらんください。

但し、テスラのギガファクトリ―でこの電池を作っているのはパナソニックです。

つまり技術はありますが、残念ながら日本にはそれを生かす土壌が無いのでしょうか?

 

 

 

■テスラだけが凄いのかというと、違います。

昨年12月に発売されたテスラ・キラーといわれるシボレーボルトは電池容量 60kWh(韓国LGケム製) 、航続距離383㎞

0-96km/h加速7秒以下 とそこそこ速く、価格はなんと37500$。

7000$の補助金をひけば30500$です。

 

340万円くらいで電池容量 60kWh 、航続距離383㎞のEVが買えるなど、日本では考えられません。

日本のEVのロードマップがいかに遅れているかが分かるかと思います。

※「テスラはハイテクメーカーが作った自動車、シボレーボルトは自動車メーカーが作ったハイテク製品」などといわれますが、先進性ではボルトはテスラに敵わず、人気は大差をつけられているようです。

 

 

■しかしテスラの本当のライバルは中国かも知れません。

次の記事をお読みください。

 

リチウム電池は日本人が開発し、韓国人が市場を拡大、そして「中国人が市場を占拠する」=中国報道

以下引用

 世界で初めてリチウムイオン電池の商品化に成功したのはソニーだ。しかし、ソニーは2016年7月、リチウムイオン電池事業を売却すると発表している。一方で、リチウムイオン電池産業では中国企業が存在感を強めており、日韓企業にとっては大きな脅威となっているようだ。中国メディアの今日頭条は25日、中国がすでに「リチウムイオン電池市場で世界制覇」しており、日韓企業の反撃も意味がないと主張する記事を掲載した。

 スマートフォンや電気自動車など、リチウムイオン電池が搭載されている製品が身の回りに増えているとおり、リチウムイオン電池は今後も市場の拡大が望める有望市場だと言える。記事は、そのリチウムイオン電池の分野では、過去30年間にわたって日韓企業が世界をリードしてきたことは認めつつも、「もはや中国は日韓に追いついた」と主張した。

 さらに、中国国内の電気自動車(EV)市場の急速な拡大とともにリチウムイオン電池の産業も急激に発展し、16年にはEVとプラグインハイブリッド車(PHV)の販売台数が前年同期比50%増となる50.7万台となったことを指摘。中国国内の需要拡大を背景に、中国はすでに車載用リチウムイオン電池で世界最大のシェアを獲得したと指摘した。

 では中国企業の強みは何だろうか。それは、原料を確保しているところにあるという。ここ1年で、中国企業はコバルト、リチウムなどの鉱業資源を大量に購入することでコストの削減に成功していると指摘し、日韓は中国のライバル企業に、半導体、テレビ、白物家電、携帯電話、高速鉄道分野で、「最初は浸蝕され、その後重傷を負い、最後は姿を見ることもなくなっている」と主張。日本人が開発し、韓国人が市場を拡大したリチウムイオン電池については「中国人が市場を占拠する」ことになるだろうと論じた。

 

誇張して手前味噌ではありますが、しかし悔しいですが、かなり当たっています。

 

テスラのギガファクトリ―は現時点で 敷地面積は17.6万平方mを超えており、複数階の使用可能スペースの合計は45.5万平方mに及びますが、これは工場全体が完成した際の30%弱にしかすぎません。

ギガファクトリーは、完成すると世界最大の敷地面積を持つ建造物となる予定で、ここでロボットで製造しています。

中国とテスラ、巨大な相手にいかに対抗してゆくか・・・・今の日本のようにEVなんか駄目と周回遅れのロードマップでは対抗できないでしょう。