中東の電力需要は年々増加していますが、中東というと豊富な石油資源。
火力発電コストは安く、「太陽光発電などお呼びではない」というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?
ところが「【中東諸国】2016年に入札される太陽光発電は2,000MW超」に見るように、中東諸国は凄い勢いで太陽光発電を導入しています。
ドバイではなんと2.99セント/kWhと、日本の電力料金の約1/10という価格で電力会社に売電されています。
「2.99セント/kWhで電力会社に売電、ドバイで世界最安の太陽光 2030年までに5GW、第3期の800MWを契約締結」
以下引用
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ電力・水道局(DEWA)は11月29日、出力800MWとなるメガソーラー(大規模太陽光発電所)「ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム・ソーラーパーク」第3期の電力購入契約(PPA)をアブダビ・フューチャー・エネルギー社(通称・マスダール社)と締結したと発表した。
マスダール社によるコンソーシアムは今年6月末、MWh当たり29.9ドル(2.99セント/kWh)と世界最安のコストでDEWAのメガソーラー建設プロジェクトを応札し、受注を獲得していた。
このメガソーラープロジェクトは、2030年までに連系出力の合計が5GWに達すると計画されている。この規模は、単一サイトにおける太陽光発電所としては世界最大規模になると見られる。
UAEのドバイは「ドバイ・クリーンエネルギー戦略 2050」を定めており、2020年までに7%、2030年までに25%、2050年までに75%の電力を、太陽光などのクリーンなエネルギーで賄う計画である
※ソーラーパネルはカナディアン・ソーラーの 両面ガラスの「Dymond」
※EPC(設計・調達・施工)サービスを担当する合弁企業(JV)コンソーシアムは、スペインのAcciona社、Gransolar社とイタリアGhella社から構成される。
グーグルマップで見ると・・・・・メガソーラーを作る場所はいくらでもありますね。
(Mohammed bin Rashid Al Maktoum Solar Park で検索すればすぐに出ます)
なぜ中東で太陽光発電が増えるかというと、産業の発展に伴い国内の石油消費が増え、将来的に石油輸出量の堅持が困難になると見ているからです。
「サウジアラビアが目指す太陽光発電産業と日本に期待される役割」
以下引用
2.サウジアラビアのエネルギー事情と再生可能エネルギー主な中東および北アフリカ(MENA)各国の再生可能エネルギー導入量の目標値の中でも、サウジアラビアは2032年までに太陽光発電16GWと太陽熱発電25GW、および風力発電9GWと大規模な導入目標を立てている(図2)。
産油国のサウジアラビアが再生可能エネルギーの導入を重視しているのには、産業上の理由がある。経済発展に伴い国内石油消費量が急増しており、このままでは将来的に基幹産業である石油輸出量の堅持が困難になるとみているからである。BPの統計では国内石油消費量は2003年の180万バレル/日から、2013年の300万バレル/日と増加している(*2)。英王立国際問題研究所では、このまま国内消費が増加すれば2038年にはサウジアラビアが石油の輸出国から純輸入国になる可能性もあると指摘している(*3)。
資源の無い日本、ソーラーパネルや太陽光発電所の建設を受注したいところだが、太陽光パネルでは中国などに、発電所の架台やパワーコンディデョナ―などの設備はドイツなどに敵わない。
次の表は2015年までのソーラーパネルメーカーの世界ランキングですが、2015年は1,2位中国、3位韓国、4位はカナダ・・・・・・
日本はトップテンから消えました。
出典:http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/041900018/
そして 米Bloomberg New Energy Finance(BNEF)社は太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、2040年までにすべての新設発電所の投資額の4分の3を占めるまでに成長すると予測しています。
内容は省略しますが、その額は2040年までに合計7兆4000億ドルの見込み。
日本は資金援助までして斜陽の原発の輸出を図るよりも、太陽光パネルや発電所建設の競争力強化に力を注いだ方が良いと思います。
政府は英国が計画する原子力発電所の建設プロジェクトを資金支援する。英国政府から原発の建設・運営を受託した日立製作所の英子会社に国際協力銀行(JBIC)や日本政策投資銀行が投融資する。総額1兆円規模になる公算が大きい。政府は原発輸出に力を入れているが、ベトナムでの新設計画が中止になるなど逆風が絶えない。官民連携で突破口を探る。
以下省略