今年最後の記事、何を書こうかと迷ったが・・・・・今年印象に残ったのは地震が多かったということと、たびたび聞かれた「未知の断層が動いた」という言葉。
プレートテクトニクス と プルームテクトニクス によれば・・・・などというまでもなく日本列島はストレスを受けひび割れだらけ。
活断層 があるから地震が起きるのか、地殻が割れて地震が起きたからか断層が出来たのか知らないが、 環太平洋造山帯 の日本列島は未知の活断層などいくらでもある。どこで地震が起こってもおかしくない・・・・という事で気になるのは原発。
「原子力はすでに商業的には競争力を失っているのでは?」 と 「昨日の記事の続き…英原発1兆円支援 政府、日立受注案件に」 に書いたように欧米の新規原発の建設費はすでに1機あたり1兆円超。日立が受注した英国の案件では2機で2.6兆円の想定だが実際はいくらかかるだろうか?
なぜそんなに高いかといえば安全要件を満たすため。
2001年9月11日のようなテロが起きれば、欧米は航空機で原子炉に体当たりされることもありうると考える。
その結果、EPRの建屋の壁は強化コンクリート製で厚みは2メートル以上、その内側の格納容器の壁も同じ厚さとされ、全長73メートル・525人乗りの超大型旅客機「エアバスA380」が激突しても壊れない構造だという。
そして2011年3月11日の地震。
福島第一原発事故で現実に炉心溶融(メルトダウン) が起き、溶けた核燃料が圧力容器(原子炉を突き抜けるメルトスルーが起きた。
電源喪失時の冷却能力の要件はさらに厳しくなり、メルトスルーのようなシビアアクシデントが起きても緊急避難を要しない事を安全要件に加える。(フランスは 原発立地とワインの産地は一致する といわれるように日本とは立地が違うので、要求される要件も違うようだ)
メルトスルーが起きても溶け落ちた核燃料は「コアキャッチャー」と呼ばれる巨大な受け皿に流れ込む仕組み。その上部にある貯水タンクは高温になると蓋(ふた)が自動的に溶けて弁が開き、その結果コアキャッチャーを水が満たして溶け落ちた燃料(デブリ)を冷やす。
4基の主ディーゼル発電機と2基の副発電機はいずれも原子炉の向かい側に設けられた高気密防水機能が施された別の建屋に収納され、電源並びに原子炉冷却機能の喪失を回避する。
日本の原発は大部分が第二世代で一部だけが第三世代。
日本ではWikipediaなどを見ても第三世代の原発が最新であるかのように書かれているが、欧米で新造中の原発は第三世代プラス(3.5世代)。
第三世代+と第三世代の安全性の違いについては削除されている。
第三世代と第三世代プラスの違いはいろいろあるが、書くと長くなるので次の動画をご覧ください。
日本の安全基準が本当に世界一かの判断はお任せするが、このEPRなら 現実的には不可能に思える住民避難計画 など必要ない。
参考までに日本の原発の建設費は“電力会社に、「原子力発電所の建設費はいくらですか?」と聞いてみた”によると以下のとおりだが、東電福島第一原発は1号機の393億円から6号機の1759億円と、新しいほど建設費が高くなっている。
以下引用
■北海道電力 泊原発
1号機2,800億円、 2号機1,810億円、 3号機2,926億円
■東北電力 東通原子力発電所
1号機4,280億円
■東北電力 女川原子力発電所
1号機2,120億円、 2号機2,670億円、 3号機3,690億円
■東京電力 福島第一原子力発電所
1号機393億円、 2号機557億円、 3号機635億円、 4号機813億円、 5号機902億円、 6号機1,759億円
■東京電力 福島第二原子力発電所
1号機3,565億円、 2号機2,763億円、 3号機3,148億円、 4号機2,914億円
■東京電力 柏崎刈羽原子力発電所
1号機4,756億円、 2号機2,998億円、 3号機3,253億円、 4号機3,344億円、 5号機3,562億円、 6号機4,182億円、 7号機3,666億円
■日本原子力発電 東海第二発電所
1,880億円
■中部電力 浜岡原子力発電所
3号機※4,000億円、 4号機※3,800億円、 5号機3,600億円
1号機、2号機は2009年1月に運転を終了しています。
■北陸電力 志賀原子力発電所
1号機2,900億円、 2号機3,700億円
■日本原子力発電 敦賀発電所
1号機320億円、 2号機3,700億円
■関西電力 美浜発電所
1号機312億円、 2号機363億円、 3号機768億円
■関西電力 大飯発電所
1号機1,843億円、 2号機1,225億円、 3号機4,582億円、 4号機2,535億円
■関西電力 高浜発電所
1号機656億円、 2号機604億円、 3号機2,803億円、 4号機2,098億円
■中国電力 島根原子力発電所
1号機393億円、 2号機3,033億円、 3号機4,600億円
3号機は現在建設中です。
■四国電力 伊方発電所
1号機780億円、 2号機1,210億円、 3号機3,142億円
■九州電力 玄海原子力発電所
1号機545億円、 2号機1,236億円、 3号機3,993億円、 4号機3,244億円
■九州電力 川内原子力発電所
1号機2,787億円、 2号機2,287億円


