・・・・・・・・・すっと伸びた赤い機首には空気抵抗を抑える工夫がされている。研究段階から一貫して携わってきたホンダエアクラフトカンパニーの藤野道格(みちまさ)社長が、イタリアの高級ブランド「サルヴァトーレ・フェラガモ」のハイヒールに着想を得たという。・・・・・・・・・
各紙ともこのように書いており、そのうちにフェラガモ・ノーズなんて名前がつきそうであるが、一応自然層流ノーズという名前がある。
ホンダジェットHPより引用
しかしここでの注目は、自然層流ノーズよりも自然層流翼型だと思う。
自然層流翼型は1930年代から研究されてきたが、欠点が多く中々実用化されなかった。
実用化されても高速には不向き、高速用の自然層流翼型もあるが翼が薄くなり、燃料搭載量が小さくなる、失速特性が悪くなるなどの欠点があった。
ホンダの開発した新自然層流翼型SHM-1は翼の表面を流れる空気は層流境界層から乱流境界層へと遷移し、その後ではく離する。こうした遷移やはく離と いった変化点を緻密にコントロールすることで、小さな抵抗と大きな揚力を確保しつつ、良好な失速特性や低いピッチングモーメントを実現した。
もうひとつのホンダジェットのトピックは、エンジン翼上配置Over The Wing Engine Mount.
このOTWEMによってホンダ・エアクラフトカンパニーは特許を取得し、藤野道格社長は AIAA(米航空宇宙学会)の「エアクラフト・デザイン・アワード」を受賞した。
エンジンが胴体に付かないため、そのための構造部材がなく、室内を広く使える。左が機首。

エンジン翼上配置のメリットは一目瞭然であるが、翼の上面は下面よりも気流が速い。
ここにエンジンを置き気流を乱すと空気抵抗が大きくなる、空力特性に悪影響があるとされ、これまで採用されてこなかった。
ところがエンジンの配置によっては、造波抵抗が減り、むしろ空気抵抗が小さくなるという。
遷音速域(飛行速度が音速に近く、主翼上面など流れの速い部分では音速を超えるような速度域)では、エンジンナセルを適切に配置すれば、主翼上にエ ンジンを配置したほうが衝撃波(流れが音速を超えた時に発生する圧力の不連続面で、大きな抵抗のもととなる)の発生を遅らせることができ、造波抵抗(衝撃波による抵抗)を低減させられるそうである。
具体的には、前後位置はナセル前縁と衝撃波発生位置が一致するようにし、かつ主翼上面とナセル下端の間の距離がナセルの最大幅の 1/3~1/2にあるときには、ナセルにぶつかることで遅くなった空気の流れと主翼上面の流れの速い空気が適切に干渉し、抵抗を減らすと報告されている 。
さらに写真などで見たところ、翼型そのものが空気抵抗が少ないためであろうが、翼に後退角が殆ど無い。
後退角は必要悪で、直線翼に比べ構造的に強度が必要、、揚抗比が悪化しやすい、、翼端失速をし易く、翼端失速をすると機体は機首上げモーメントとなり、失速からの回復を困難にする・・・などの欠点がある。
だからB-747とB-767を比べると、設計が新しく翼型が優れるB-767の方が後退角が少ない。
一般的には後退角がある方が速そうでカッコ良いかも知れないが、私にはホンダジェットのように後退角が小さい方がカッコよく見える。



