昨日欧州の系統連携を紹介しましたが、オランダは欧州の電力ハブであり、またブログネタの宝庫でもあります。
ところがこのオランダが今や世界の安全保障・半導体の命綱を握り、先端技術のパワーバランスの要といって良いと思います。
以下引用
トランプ政権は、オランダの半導体製造技術が中国に輸出されるのを阻止するため、広範囲な働きかけを強めている。関係筋がロイターに語ったところでは、ポンペオ米国務長官がオランダ政府に働きかけ、米政府当局者はオランダ首相に機密扱いの情報機関報告書を開示したという。
こうしたハイレベルでの働きかけについて、これまで報道されてこなかったが、世界最速レベルの半導体製造に必要な機器が、中国の手に渡るのを防ぐことに米国政府がどれだけ力を入れているかを示している。同時に、中国への先進的テクノロジー流出防止という、米国政府がほぼ単独で進める企てが直面する困難も見て取れる。
以下省略。
いったいこれはどういうことか?
次の記事にファブレスとファウンドリについて書きましたが、まず現在の最先端の半導体の現状、ファブレス企業とファウンドリについてご覧ください。
現在最先端の半導体は設計をするファブレスと製造するファウンドリに分かれています。
ファブレスの覇者はアップル、NVIDIA、そしてテスラなど。
そしてファウンドリの覇者はTSMCとサムスンです。
しかしそれらに次ぐグループにSMICという中国企業が入っています。
そしてファウンドリが最先端の半導体を作るのに欠かせないのが、微細な電子回路をシリコンウエハー上に焼き付ける露光装置・ EUV(極端紫外線)露光システム です。
かつて世界一の半導体製造装置のメーカーといえばニコン。
今でもそう思っている人も多いのではないでしょうか?
ところがニコンはEUVの開発から撤退してしまいました。
以下引用
ニコンがグループ全体の1割にあたる2千人の人員削減に乗り出す。かつて稼ぎ頭だったカメラ事業の低迷が主因だが、背景には主力の一つの半導体製造装置事業の主要顧客である米インテルの不振がある。かつて半導体装置の世界シェアが首位だったニコンだが、今や7%ほど。米エヌビディアが時価総額でインテルを抜くといった半導体業界の構造変化の影響が出始めている。
中略
さらに深刻なのは今後、伸びるとみられる分野で力不足なことだ。最先端の半導体では基板に回路を転写する工程で「EUV(極端紫外線)」と呼ばれる技術に対応した装置が必要だが、ニコンはこの装置の開発から撤退した。開発コストが大きかったことが要因とみられ、ニコンは「当時の経営判断で経済合理性が成り立たないと考えた」としている。
この製造装置は、最大手であるオランダのASMLだけが商用化に成功している。インテルもASMLから調達した。ただ、新しい製造ラインの確立に時間がかかっているとされ、インテル自身も競争力を失いつつあるとの声が出ている。
7月23日にはインテルのボブ・スワン最高経営責任者(CEO)が、これまでは自社工場で生産してきた半導体を、受託大手に頼ることを検討すると表明。時価総額でインテルを抜いたエヌビディアが設計や開発に特化し、工場を持たずに委託するモデルで成功しているのを意識している。
こちらの動画の2分25秒から2分間ほどご視聴ください。
本当に日本を思うなら、まず日本の現状を見よ。
そして認めたくないことも認め、立ち直るためにはどうすれば良いか考えて、前に進むべきでしょう。
嫌いな国の崩壊論や悪口で喜び、日本は凄いと悦に入っていては、結果的に嫌いな国の後押しをしているのと一緒。
今のマスコミはその後押しをしている状態でしょう。