世界に轟いた最期の雷鳴 ~thunder and lightning~ | お茶どうぞ(仮)

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シン・リジィのラストスタジオアルバム
「サンダー・アンド・ライトニング」

これほど「リフレッシュ」という表現が相応しい
アルバムもそうそうないのでは?


様々な要因からバンドは終焉に向かう
時期であり解散が決定していたにもかかわらず
用意された楽曲の充実度は驚異的で
ANTHEMの柴田直人はこの作品を
「理想のラストアルバム」として引き合いに出し
清水昭男という若き才能との出会いを
フィルとジョン・サイクスになぞらえて
当時のANTHEMに一度幕を降ろした

本作を取り上げる時はバンドが
なぜ解散に至ったかを論じるよりも
とにかくこの圧倒的魅力溢れる楽曲群に
拍手を贈りたい気持ちがまさる

もちろんバンドのバックカタログで
最高傑作と言われるものは本作以外にも
多々あってそこは意見の分かれる所である
(かく言う管理人も彼らのベストは別に存在する)

意外に見落としがちなのは当時新加入だった
ジョン・サイクスばかり話題にのぼるが
ダーレン・ワートンが4曲にわたり
クレジットされているという事実だ
実はここにリフレッシュの秘密が隠されて
いるんじゃないだろうか?

ジョン・サイクスの貢献については
議論の余地はなくバンドが輝きを取り戻した
立役者であるのは間違いないところではあるが
こういった歴史ある老舗バンドに
後から加入した立場だと
曲作りに割り込むのが容易でない事は
簡単に想像がつく

しかしながら
そのジョンですら1曲のクレジットに終わった事を
考えると(その曲はジョンの持ち込んだリフを
フィルがその場で一気に仕上げたCold Sweat)
ダーレン・ワートンが4曲にクレジットされた
事実は驚異的で、これはワートンがいかに
フィルの信頼を得ていたかがわかるモノサシである

ジョン・サイクスは十二分に評価を受けているが
ダーレン・ワートンという縁の下の才能にも
もう少し注目してあげて欲しい



幾度となく聴いた現在は
「ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー」
「バッド・ハビッツ」「ハート・アタック」
というラスト3曲の流れが好きだ

また当時のライブで頻繁に演奏された
「サンダー・アンド・ライトニング」
「ディス・イズ・ザ・ワン」
「コールド・スウェット」
「ホーリー・ウォー」
これらも優れた楽曲で聴けば聴くほど
なぜ解散するのかと思わず問いたくなる


フィルが生きていれば間違いなく
再結成しただろうなと思うが
36歳というのはあまりにも
短い生涯だった



それにしてもバンド最終作が
ここまでの好盤になる例はあまりない

普通は長期に渡る活動の末解散するとか
アイデアが枯渇したりCHEMISTRYが
起きなくなったとかで作品内容の低下が
バンドを解散に向かわせたりするなど
色々と理由は考えられるのだが
作品が内容的に充実していながらの解散は
人間関係や契約、又は不慮の事故による
突発的な場合くらいしか思いつかない


結果的に解散から僅か数年で
不世出の詩人かつロッカーだったフィルは
オーヴァードーズによって亡くなるのだが
唯一無二の存在だったが故に
トリビュートバンドのツアーが行われようが
幾多のベストアルバムが発売されようと
いまだに世界はフィルを
THIN LIZZY
を求めてやまない


つい最近もフィルの映画製作の
ニュースが飛び込んできた


伝説となるアーティストの多くに
「不慮の死」というキーワードをよく見聞きする
そしてその悲劇性や志なかばで倒れた
アーティストに対して我々は実像以上に
想い入れを押しつける事があるが
だから過大評価してるんじゃないの?
という事が言いたいのではなくて
そう思わせてしまう程に素晴らしい
過去の実績を我々は良く知っている
という事なのである


フィルの遺した音楽に魅せられた者達は

GARY MOORE

今振り返ると蜃気楼のような逢瀬だったな


JOHN SYKES
JOHNNORUM
WILD HORSES

歴史的には外せないところだが・・


GRAND SLAM
21GUNS
DARE
BLACK STAR RIDERS

やっぱ正当な伝承者はこれかな


上記のミュージシャンや
そのエッセンスや影響を感じさせる
44MAGNUMからGLYDERといったバンドに
至るまで無意識のうちにシン・リジィの
幻影を追い続けているのかもしれないですね