特例子会社について | ボツ母のブログ

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息子ダウン症2012年生まれ。私立小学校4年生普通学級在籍。テリア犬と息子の日常をぼちぼちと書きます。母の本業は精神障害者の就労支援員、スクールソーシャルワーカー、精神科クリニックの相談員など諸々
社会福祉士/精神保健福祉士/公認心理師

障害者の企業就労を大きく分けると、下記3つになります。

・障害者手帳所持をクローズドで就職し企業にとって障害者雇用カウント外での就労

(精神障害の方に多くあるパターンですが、一部知的障害の方でもいらっしゃいます)

・障害者手帳所持をオープンの上、企業側の障害者雇用のカウント数としての就労。いわゆる、障害者枠採用

・障害者社員に配慮された別会社の特例子会社にて就労


特例子会社については、以前のブログから説明をいろいろ書いていたので、今回は省きますが・・・

今、日本ではH25.5時点で378社になります→こちら

最近の動向は、以前のブログの記事参照ください→こちら


私は、以前東京に住んでいた時、いわゆる一般企業の人事部で障害者雇用担当部署の責任者をしておりました。

その後、転職し某企業の特例子会社にて採用担当をしておりました。

その経験上、私は特例子会社は実は反対派でした。

なぜなら・・・

日本中には障害者手帳所持者は全人口の5%以上いる。

普通に街中を歩いていれば、100人のうち5人は障害者手帳所持者。

街中は全面的にバリアフリーというわけではない。でも、障害者も健常者も普通に生活している。

それが、会社となるとなぜ、障害者社員のみ、別会社に集まって働かなくてはいけないのか?

障害のある人もない人も、その人なりの力で社会参加をする社会を目指すなら、何も障害者だけ別枠でくくる必要はないのではないか?

健常者社員のとなりに障害者社員も一緒に仕事をし、双方で配慮しながら仕事をするのがあるべきノーマライゼーションの姿ではないか?

このように、いつも思っており、それゆえ最初の会社で障害者雇用を始めた時は、別会社にすることなく知的・精神障害者の方を、障害者枠での採用ではあるが普通に、各部署に配置して一緒に仕事をすることを心がけました。

障害者社員の所属部署は1か所でしたが業務中はそれぞれ、営業部、人事部、総務部に出向いてその部署に社員と肩を並べて仕事ができることを目指しておりました。

とにかく、社内に障害のある社員とない社員が普通に混在して仕事をすることを目指しておりました。


逆に、その後転職した特例子会社の場合、会社そのものは自社ビルの中にありましたが、やはり別会社ということもあり、本社の社員全員が障害者社員の存在を知っているわけではありませんでした。

本社業務の一部を請け負って特例子会社の社員は仕事をしていましたが、やはり別会社として本社とは全く違う位置づけでした。


そして、私はつい最近までやはり、特例子会社は障害者社員に配慮された会社ではあるが、その存在が逆に障害者と健常者との間の見えない壁、バリアを作る要因にはなっていないか?

本来の障害者の方もバリアフリーに社会参加を目指すなら、何も特例子会社にしなくてもよいのではないか?

このように思っていましたが・・・


以前もこんな記事を書いています→こちら


先日、某特例子会社の元社長の方といろいろ話しました。

私のこのような考え方を確かに会社設立当初は大きく感じていたと・・・

しかし、何年も特例子会社を運営するうちに、一番大切なことは障害のある社員が持てる力を最大限生かしたうえで、心地よく、楽しく働けることではないかと思うに至ったとのこと。

その時、同じ会社で健常者社員と条件も環境もすべて一緒というのはやはり厳しい。

心地よく、持てる力を最大限生かすうえでは、思い切って別会社で全く違う経営方針で行ったほうがうまくいく。

結果的には、主役である障害者社員一人ひとりが生き生きと働けるということに至ったとのこと。

働く主役の彼らにとっては、特例子会社のほうが仕事がしやすい。

少なくとも、特例子会社のほうが働きやすいと思える会社にすることができたとのこと。

実際、こちらの特例子会社では、人事考課制度もしっかりしており(もちろん知的障害者社員に配慮された考課制度)、給与もそれに基づき確実にあがっていく。

もし、その人が本当に頑張るなら、知的障害があっても部長クラス、年収750万円前後まで目指せる給与制度になっているとのこと。

また、新卒、中途採用も実際障害者社員のリーダーの方が最終的に採用決定権をもっていると。

知的障害があっても、自らが選んで採用した社員は必ず、育てようという意気込みになり、大切にするから、最終採用決定権は障害者社員に任せるとのことでした。


この、ドラスティックな企業運営が可能なのは、これはまさに特例子会社の強みではないかなと、この時強く思いました。

そこで、最近は私は以前の特例子会社反対派から中立派になりつつあります。


ここの特例子会社の話は、ほかにも良い話がたくさんあったの、また続きは次回に・・・