障害者手帳所持者の企業就労にはざっくり下記のような方法があります。
・障害者手帳所持であるが、それには関係なく一般枠で入社
・障害者手帳所持であることを前提の上で、障害者枠で入社
・障害者用に配慮された、特例子会社での就労
この特例子会社での就労については、前からもいろいろ書いておりますが私は、個人的には全面的賛成ではありません。
ただし、特例子会社は障害者に配慮された会社であることは確かですし、親会社が大企業のことが多く安定している傾向もあるので、大変に人気でもあります。
今月1日に最新の特例子会社一覧が発表されました。
また、特例子会社とはどのようなものかの説明も合わせて公表されたこの資料が参考になります。
さて、この特例子会社一覧で注目したいことは・・・
①近年は知的障害および精神障害者の方の就労が圧倒的にのびている
②全体378社のうち、平成20年以降設立の会社が174社 全体の46%
③東京から地方への拡大
①障害者の就労というと、基本的には身体障害者が対象とよく誤解されますが、実際身体障害者の方の就労ある程度安定しており、この10年人数増減はあまりありません。
【身体障害者の就職件数】
HWでの就職件数
平成16年度 22,922人 → 平成23年度 24,864人 伸び率ほぼ横ばい
特例子会社での就職件数
平成16年度 5,078人 → 平成24年度 8,384人 伸び率1.5倍
【知的障害者の就職件数】
HWでの就職件数
平成16年度 9,102人 → 平成23年度 14,327人 伸び率1.6倍
特例子会社での就職件数
平成16年度 1,473人 → 平成24年度 8,470人 伸び率5.75倍
【精神障害者の就職件数】
HWでの就職件数
平成16年度 2,592人 → 平成23年度 18,845人 伸び率7.2倍
特例子会社での就職件数
平成18年度 50人 → 平成24年度 889人 伸び率17.78倍
上記数字より、特例子会社に限って言えば採用対象障害者は知的障害および精神障害者になっているということが明らかにわかります。
②近年特例子会社が増加傾向
法定雇用率が2.0%になったのはH25年4月からですが、5年ごとに今まで見直して法定雇用率は引き上げられてきました。
それに伴い、一部の特定の大企業だけでなく従業員数が多い企業のかなりの数が障害者雇用を経営課題とらえそれを促進するために特例子会社を設立しています。
この5年間で圧倒的に増えている・・・
これは、よく今学齢期のダウン症者の親御さんから聞くことですが・・・・
「成人しているダウン症の方の親御さんにきくと、ダウン症の方で就職はまず無理よ。体力ないし。軽い子しか雇ってもらえないからと言われるのですが、それは本当ですが?」という質問。
この一つの答えを示しているとも思います。
確かに、障害者とくに知的障害者でも重度判定の出る中度~重度知的障害者の方の雇用はホントこの5-6年需要が高まってきました。
ただし、確実に今これだけ特例子会社は増え、しかも特例子会社で働く人の半数以上が重度判定を持っている昨今ですから、これから先はもっと働く機会、チャンスは増えていくと思います。
とにかく、中度知的障害者の方の雇用環境が、大きくガラッと変わったのはこの数年のことです。
なので、今後の動向に要注目となります。
③特例子会社が東京から地方へ
特例子会社一覧を見ていると、やっぱり特例子会社ってほとんど東京にしかない。
うちは、田舎だからムリだわ・・・という声も聞かれます。
しかし、実際都内で障害者採用をしていると、本当に効率がわるい。
というか、採用する企業数が圧倒的に障害者の数を上回っているので、所謂「よく働ける障害者」の方を都内で採用するのはかなり、コストと労力がかかります。
そうすると、まずは「働く力は未知数」の方を採用して自社で育てる、もしくは30代、40代で就職経験がない、B型施設にいる方から採用するなどをしていきます。
しかし、最近は特例子会社を本社のある東京ではなく、地方に作る動きが確実に出てきました。
実際、地方の方が「働ける力」を持っているのに、働く場所がなく就職できない障害者の方が多くいらっしゃるというのは、私も実感しております。
そこで、この特例子会社一覧をみていると・・・
1社目の特例は東京近郊。でも、2社目からは地方都市に作る会社もいくつかでてきています。
この動きも、これからさらに拡大することが期待できると思います。
障害者雇用が東京から地方に急速的に拡大してきたのも、この5.6年のことだと思います。
そんなわけで・・・
毎年この時期に、厚労省から発表になる特例子会社一覧とその動向の資料はなかなか興味深いものですの。。。
もしよろしければ、ご興味のある方一度目を通してみてください。
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