超長期廃墟探索ローラー作戦 物件141 兵庫県 山の牧場 | ボヤジャントの呟き。

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取材日時 2008年 9月3日

コメント・この物件名は当然のことながら正式名称ではない。
既に探索した中途でこの物件の正式名称は判明している、電話番号も分かったが電話をしてみても使用されておらず、どこにも通じない。
だからカーナビで検索してみても一切ヒットする事は無い。
最初にこの物件の存在を知ったのは、かつて放送していたネットラジオ「イニシャルG’Z(イニシャルジーゼータ)」にてパーソナリティのキャプテンさかもよ氏が、かの有名な怪談百物語を読んで実際にそれについて調べてみたところ、山の牧場と呼ばれる物件が実在する事を自らの調査で明らかにしたという話を聞いた時だった。

ちなみに山の牧場とは何か?
今からおよそ20年前、新耳袋著者の1人が大学の卒業制作で映画を撮っていた。ロケハンで踏み入れた兵庫の山中である、山頂に辿り着いた彼は奇妙な光景を目にす。
赤い屋根の牛舎、しかし牛を飼った跡がない。 階段がない二階建の建物。 その一室に御札がびっしりと貼ってあった。この山の上にある不気味な牧場とはいったいなんなのか?
これについて、ネットでは様々な憶測が飛び交い2ちゃんねるでは専門のスレッドが乱立し、一時騒然となった時期があった。
現在はすっかりそれも鳴りを潜め、忘れられた存在となっている。ネットの住民たちは飽きるのも早い。今は山の牧場に関するスレッドは存在しておらず、話題として取り上げられる事は殆ど無くなった。
しかし取り壊しされたと言う情報も無く、詳しい探索レポートも限られたサイトでしか紹介されていなかったので、それなら行く価値はあるだろうと判断。
今回の探索のリストにくわえる事にしたのだった。
そして、今ではグーグルなどで簡単に航空写真を見る事が出来るために、現地へ行かずして簡単に物件の存在を確かめる事が出来るようになり、今回の長期遠征の出発直前に確認した結果、まだ山の牧場は存在する事が確かめられたのだ。
そして、この日降水確率80パーセントを軽く越えているであろう鬱陶しい日に、兵庫県の山奥へ携帯ナビと地図を頼りに分け入り、とうとう本物の山の牧場にたどり着く事が出来たのだった。

目の前に立つ物件は、まさにネットで見てきたそのものだった。
県道から目印の無い分かれ道に入り、轍が深くこの先に本当に何かが有るのか?と思わせるような荒れたダートをゆっくりと走る事10数分。
その道の終点に「山の牧場」が正に忽然と姿を現したのである。
本当に実在するとは最後まで信じていなかっただけに、その衝撃は尋常ではなかったが、それ以上にこの建物に対する破壊の痕跡が全くと言っていいほどに無いのが余りにも不気味だった。
パッと見にでは廃墟ではなく、使っていない牧場風情といった感じで、いつでもオーナーが戻ってくれば稼動を開始することが出来るほどに程度は極上だった。
スライドショーを見ていただければ分かると思うが、特筆すべきは一枚もガラスが割られていないのである。
事務所(住居?)と思しき建物は施錠されておらず、簡単に中に入る事が出来る、しかし内部に生活の痕跡はあるもののライフラインは当然の様にストップしている。だが、放火や荒らされた様子も無く、いつ人が帰ってきてもおかしくない感じで、それが返って不気味さを強調していたと思う。
家畜が居たとされる厩舎の方は、確かに牛が居たと言う形跡を認めるのは困難で、そこで種付けをしていたと思われる器具(牛用の巨大なクスコ)があったりしたが、あまり長い事操業をせずにクローズした感じがする。

その他には農機具を収納している部屋等があったが、コウモリの住処となっていて、満足に探索することはできなかったが、あの一連の騒動の根源となったとされる場所にしては、意外と開放的で牧歌的な雰囲気があり、拍子抜けしてしまった。だが、間違いなく自分がいる場所は人里はなれた山奥であり、携帯の電波もかなり厳しい。ここで何かしらの事件に巻き込まれたりしたら、助かる可能性は極めて低いと思う。新耳袋で語られたような「黒服の二人組みの男」がいつ現れやしないかと実際は戦々恐々としながら探索をしていた。
画像でも分かるとおり、この日は一日中悪天候に見舞われ、止む事の無い雨の中の探索となった。
奈良DLでの失敗を教訓に、この日は屋外での撮影では徹底的に雨に対して警戒をし、傘を差しながら撮影をするというスタイルを貫いた。
性能が格段にアップしたカメラのお陰なのか、傘を差しながらの撮影でレンズに水滴が付かなかったのが良かったのか、降りしきる雨粒がはっきりと写り込み、雰囲気はそれなりに出ていると思う。
こんな雨の日、結局2時間以上もここに滞在していたが誰一人来る事は無かった。


 
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