「お嬢さんですか?」
隣町の、
小さなプレハブ建てのカウンターだけの5人で満席な、
でも美味しくて有名なラーメン屋。
外は「しゃんしゃんしゃん・・」蝉しぐれ。
カウンターの向こうの親父さんが聞いた。
「はいっ」
「父が美味しい美味しいってずっと言ってて」
「やっと来ることが出来ました」
(おおおおおー、なんと卒のない返し)
(ほんと娘、大人になったなぁ)
咳止まらず。
痰が絡むようになった(個人的には痰が絡んだら回復期と思ってるけど違うんかな?)
ウエルシアで風邪薬買う。
実家片付けを早々に切り上げて家で寝てよう。と思ったんだけど娘と、
坂下、買い物行こっか?
そんでついでにラーメン食べよう。
(んなことやってっから治んないんだよ!)
朝、出勤がしんどい。
休んじゃおうかなぁと思う。
当日欠勤は顰蹙(ひんしゅく)もんだから、取り敢えず行くだけ行って事情話して帰っちゃえばいいや。
出勤したら爆裂働く。
の繰り返し。
午後の作業が終わって、
東京湾側と筑波山方向にもの凄い積乱雲出てるよ。
と娘にLINE
確か今日「夕方から恵比寿」て言ってた。
「洗濯物干してきちゃった」
あぎゃ
ばじがぁー
(「あら」「マジかー」と言ってる)
「申し訳ない・・」
いやいや、あなたのせいじゃないでしょ。
「天気と泣く子にゃ勝てない」てカメラマンの常套句だし。
(俺とっくにカメラマン辞めてるしー)
帰宅。
誰だ俺ん家の門の前にでんぐり返った傘、捨ててったのは?!
けどまぁ、ちゃんとした黒い傘がこんなになるほどの雨風だったのか。
ぐっしょり濡れて(嗚呼、夢だな)重くなった洗濯物を取り込む。
これもっかい洗濯しなきゃ。
くたびれて帰って来たのにやれやれやれ・・
でもまぁ、腹は立たない。
俺、怒らなくなったなぁ。
深夜。
娘がそっと帰って来る小さな音、気配。
半分寝てる頭で思う。
いい一日だっただろうか?
嫌な思いをしなかっただろうか誰かに悲しい気持ちにさせられたりしなかったか?
まぁ、
立派な大人だ余計なお世話だな。
だからなんで娘なんだ?