「何のために生きてるかわからないんですよ」
俺より10くらい若いんだっけ。
結婚歴なし。
山手線の内側のマンションの最上階、メゾネットのペントハウスを職場兼住居にしてて、そこそこお金は持ってるんだろう。
ハーレー乗ってるし。
少し前に大病してから弱気になった。
家族居ないし、バリバリ仕事してお金稼いでも使い道が無い。と言うか、意味が無いと思っちゃうのかな。趣味も無さそうだし酒も飲まないし。
あ、でも去年だか一昨年だか『温泉地のマンション』買ってたな。
「毎日考えちゃうんですよ」
「何のために働いてんだろう?て」
うーん。
俺にそう言われてもなぁ。
曖昧に頷くしかなぁ。
多分ね、この人(制作の社長)は、
『誰かを必要としてる』んだと思う。
一緒に居てくれて、頼ってくれる女の人を。
んー
俺は同じ独り者だけど、
死ぬのはいつでもいいけどそんなふうに考えた事はなくて、
『必要とされたい』
なのかな。
だって(俺を)必要としてない人に関わるのは気持ちと時間の無駄でしかないし。
必要とする。
必要とされる。
するもされるも目指す所は同じだけど、似てるようで似てない。