コロンブスを航海に向かわせた、トウガラシをめぐる冒険
英国のコーンウォール公(伝統的には現国王の長男を指す。現在はチャールズ皇太子)には代々、年に一度、領地から地代を受け取る権利が与えられている。地代として贈られるのは、狩猟用の弓、金色の拍車1組、グレイハウンド犬2匹、大量の薪、そして1ポンドのコショウの実などだ。
コショウは、決して粗末な贈り物ではない。ヨーロッパの歴史においては、金と同等の価値を有していたのである。ローマは、コショウを使って西ゴート族とフン族のアッティラ王を買収したし、家賃や裁判官へのワイロにも、コショウが使われた。中世の農奴は、1ポンドのコショウをかき集めることができれば、それと引き換えに自由を手に入れることができた。
ヨーロッパの人々にとって特に価値があったのは、黒コショウだ。「Piper nigrum」という学名を持つ刺激的なその果実は、南インドが原産である。15世紀、オスマン・トルコによってコンスタンティノープルが陥落してから、インドをはじめアジアとの貿易ルートが断たれたため、コショウの価格が急騰した。危なっかしいコロンブスの航海にスペイン王室が出資する気になったのは、気が遠くなるほど高額になったコショウが一役買っているのは間違いないだろう。
香辛料と新世界
1493年1月15日、コロンブスは自身の日記に、新世界の香辛料のことを綴っている。「新世界に大量にある香辛料aji(アヒー)は、ヨーロッパのコショウよりも価値がある。健康にとても良いため、アヒーなしで食べる者はいないほどだ」。中南米の原住民は当時、数十種もの香辛料を栽培していた。『General History of the things of New Spain』(1569)を書いたフランシスコ会修道士のベルナルディーノ・デ・サアグンは、アステカ時代のメキシコで60年以上を過ごした経験から、香辛料を用いた現地料理の幅広さに触れている。
新世界の香辛料は、コロンブスによってpepperと名付けられたものの、旧世界のコショウとはまったく別物である。ナス科の仲間であり、トマトやジャガイモ、ナスなどの親戚に当たる。もっと具体的に言うなら、25種からなるトウガラシ属に属している。
⨁⨂ 参考資料: 辛料貿易=中世から大航海時代= (1/3) ⨂⨁
アラブの貿易と中世ヨーロッパ
ローマは5世紀に香辛料貿易の一端を担ったが、アラビアの国と違い、その役割を中世まで持続させることはできなかった。イスラム教の成長が、エジプトとスエズを結んでいた陸上交易路を塞いだことにより、アラブの貿易商人たちは、レバント地方経由でヨーロッパとの貿易を続けた。
東南アジアとインドの交易は、7-8世紀の間にかけて、アラビアとペルシアの商人にも重大な影響があったことがわかっている。アラブの貿易商はインド洋航路を支配し、秘匿されていた「香辛料諸島(Spice Islands)」(モルッカ諸島やバンダ諸島)のような極東の資源地を開発した。
モルッカ諸島に関していくつか言及された史料がある。中国では『梁書』「海南伝」にモルッカ諸島を指すと見られる「馬五国」という名称が記録されており、中国人海商が海外飛躍した元代に書かれた『島夷誌略』には、モルッカ諸島へ至る航海についても触れられている。ジャワの年代記(1365)は、モルッカとマロコ(Maloko)について言及しており、14-15世紀における最初の明確なアラブ人とモルッカ諸島の関係を含んでいる。
また、スライマ・アル=マール(Sulaima al-Mahr)は「(ビャクダンが見つかった)ティモール島の西にバンダ諸島があり、ここではナツメグとメースが手に入る。このクローブの島はマルク島(Maluku)と呼ばれている。」と言及している。
マルクで採れたクローブは、船でカリカットのような港町とスリランカを経由して、インドの市場で取引された。そこから、アラビアの港に向かって貿易品は出荷された。ペルシャ湾のホルムズ王国や紅海のジェッダ、稀に東アフリカまで、葬儀を含めた様々な用途のために用いられた。インドから港湾都市のアデンにやってきた商人達は、交易品の麝香、樟脳、龍涎香、ビャクダンをイブン・ジヤド(イエメンのサルタン)に税として貢納した。 ・・・・・・明日に続く
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