やる気が出ない時は誰でもあると思います。私は雨模様で湿度が高いとやる気が出ません。そうした気候によることもあるでしょうし、何かが原因で気分が落ち込みやる気が出ない時もあるでしょう。
やる気が出ない時に、皆さんはどう対応していますか。
脳科学者の池谷裕二氏が著書「最新脳科学が教える高校生の勉強法」のなかで述べていることが参考になるのでご紹介します。

やる気やモチベーションは脳の中心にある直径1センチ以下の「側坐核(そくざかく)」という場所で作られているそうです。この側坐核は刺激がないと活動しません。やる気の中枢でありながら、他からの働きかけがないと動かないという他責的なところが特徴です。
つまり、やる気が出ない時というのは側坐核に刺激を与えていない状態だと言えます。したがって、やる気が出ない時は側坐核を刺激してやればいいのです。シンプルですが側坐核は何かをすることで刺激されます。
たとえば、
・気分が乗らなくても、まずは机に向かって簡単なことでいいので何かを始めてみる
・仕事のメールをチェックしてみる
・仕事関連の、あるいは学習関連の調べ物をしてみる
こうしたことを始めると側坐核が刺激され徐々にやる気が出てきます。
最初は嫌々ながら始めた仕事や勉強なのに、始めてみたら気分が乗ってきてどんどん片付いてしまったといった経験は誰でもあるのではないでしょうか。
これらは全て、心理学者クレペリンによって発見された「作業興奮」という現象が起きているからなのです。側坐核の刺激に始まる「作業興奮」は恐るべしです。とりあえずやり始めてみると気が付いた時には終わっていて、充実感や達成感が得られたということが起きるのです。

いやいや、やる気のない時はそもそも何かを始めることが難しいのだ、という意見もあるかもしれません。机に座ったまではよかったが、仕事や勉強に無関係なネットサーフィンをしてしまった。オンラインゲームで何時間も無駄に過ごしてしまったといった経験も多くの方がしているのではないでしょうか。
そうした時にどうすればいいのか、それがわからないから困るのだということでしょう。

「作業興奮」の理論では、望ましい結果が得られる作業を行うことが必要であるとしています。
望ましい結果といっても、数学の難問を解くといったような、難解で何度もステップが必要な高度なことではなく、比較的容易に結果が得られることがポイントです。すなわち、日頃からよく行っており、容易に着手できるようなルーティン化したことを行うことが得策なのです。

望ましい結果が実現しないと「作業興奮」は発生しにくいので、その点にはこだわる必要があります。
楽しいだけのゲームではダメなのです。仕事や勉強につながる、容易なものでいいので結果を伴うこと、そこにこだわることで側坐核が刺激され「作業興奮」が発生し、やる気へとつながっていくのです。