理想的なチームとは、と問われると皆さんはどんな状況が頭に浮かびますか。
私は以前5人のチームで会社内の組織開発を担った経験があり、その時のチームが100点満点とはいえませんが、自分のなかでは理想的だと思っています。
それは、一言で言えば意見交換が活発なチームです。
何かするときには必ずミーティングやちょっとした話し合いを行ってから、意思統一を図ってから進めていました。
それ以前、私は人材開発を担当していて、対象がチームや組織ではなく、いわば「個」だったのですが、組織開発を担当するようになり、対象は「組織」つまり「個」の集まりになるため、発想や考え方、やり方を根本的に考え直す必要が生じたのです。
そのため、常に話し合い、調整を経なければ何も進められない状態となり、やむを得ず意見交換をしなければならなかったというのが実態です。とにかくわからないことだらけですから、頻繁に調べものをしたり、話し合いを行ったりという状況でした。
実際にはお互いの考え方の違いはもちろん、価値観の違いがしばしば表面化し、小競り合いも少なくなく、しんどかったことを覚えています。しかし、様々な試行錯誤を経ながらもいくつかの成果を上げることができ、チームとはこうあるべきという実践知を得ることができました。
マサチューセッツ工科大学(MIT)のAlex Pentland教授は、好業績チームには、3つの共通したコミュニケーション・パターンがあるとしています。
1.頻繁なコミュニケーション:優れたチームは、たいてい、1時間に十数回のコミュニケーションをとっている。
2.均等の発言量:メンバーそれぞれの話す量、聞く量が均等。
3.外部情報源:チームに特定分野の知識やスキルが足りないと感じると、複数の外部情報源と接触する。
私のチームはまさにこれらを満たしていました。
初めての取り組みだったために、そうせざるを得なかったというのが実態ではありますが、それにより理想のチームについて実践知を得ることができました。
この時行われていたのは、チーム全員の貢献を引き出すために、アイデアの共有や協働ができるように、とにかく話すこと、対話することです。
その際に相手を打ち負かすような、いわゆるディベートにならないように、各自の考え方をいったん明確化し、その中から価値のある何かを生み出す努力をし続けました。
理想的なチームは、理想的な行動により実現しますが、行動過程においてはかなりの葛藤や苦しみもあります。そして、その状態に耐えられなければ理想は訪れません。非常につらい生みの苦しみがあることも指摘しておきたいと思います。