人生100時代と言われていますが、日本の就労環境はどのように変化し、我々はどのように対応していけばいいのでしょうか。
世界保健機関(WHO)の統計によれば、日本は世界で最も平均寿命が長い国です。

100歳以上の人口はすでに6万人を超え、国連の推計によれば、2050年までに100万人を突破することが見込まれています。
また、米国カリフォルニア大学とドイツ地政学研究所の推計によれば、2007年に生まれた日本の子供の半数が107歳まで生きると推定されています。そしてそれは、主要先進国のなかでは最も高齢です。

昨年日本では、法令により65歳までの雇用が義務化されました。また、年金支給開始年齢もすでに65歳になっており、70歳への変更も議論の俎上にのぼっています。
これに対して、定年の延長や高齢社員への配慮といった高齢者を対象とした条件整備に着手した企業は少なくないでしょう。そうした条件整備は急がねばなりませんが、働く側、当事者である高齢者だけでなく、準備をするという意味で高齢者以外の若い世代の人々にも、意識や考え方、行動を変えていく必要があります。

その点に関して企業の考え方がわかる調査結果があります。
労働政策研究・研修機構が2020年に行ったものですが、企業が「これまで重視してきた能力」と「人生100年時代に求められる能力」との比較です。
これまで重視してきた能力では、「経験をもとに着実に仕事を行う能力」67.3%)、「チームの一員として自らの役割を果たす能力」(64.6%)などの割合が高かったのに対して、人生100 年時代に求められる能力では、「自ら考え、行動することのできる能力」(55.3%)、「柔軟な発想で新しい考えを生み出すことのできる能力」(53.5%)、「特定の分野における専門的・技術的な能力」(47.1%)などの割合が高まっています。
特に、柔軟な発想で新しい考えを生み出すことのできる能力は、これまで重視してきた能力では20.8%であり、32.7%も上昇しています。新しいものを生み出すことは従来から必要とされていたでしょうが、それがより鮮明になってきたということです。

企業は人生100年時代に対して、相当な変化を予想しており、変化対応の鍵は1人ひとりの個性と能力を活かすことにあると考えていることが伺われます。
先が見えない時代に対応するには、過去の経験やチームワークだけでは十分に対応できないことをすでに嗅ぎとっているということでしょう。

年齢や経験は人間としての成熟には大切な要素であり、これからも大切にしなければなりませんが、新しいことを考え生み出すことに対しては、年齢や経験が邪魔をすることも我々は知っています。
そのことを本当に実践する必要がある、そうした時代になってきているのです。