会社や組織における「評価」について皆さんはどんな感想をもつでしょうか。
「評価にはあまり納得できない。上司の好き嫌いで決まっているように感じる。」
「だいたいこんなものかと納得しているが、評価によってやる気は出るわけではない。」
「可もなく不可もなくの評価で何のためにやっているのかわからない。」
「行動や成果はあまり変わっていないはずなのに、上司が変わって評価が下がったため納得がいかない。」
「年功序列で評価されており、評価の予想がつく。」
等々、一言でいえば評価の本来の目的である人材育成にはあまり役立っていないケースが多いように感じます。

神戸大学の服部先生が、いわゆるスター社員と上司による評価の関係を明らかにしています。
ここでいうスター社員とは以下の項目を満たしている社員です。
・トップ1%に入るような、卓越したアイディアを生み出し続けている社員
・既存のやり方の改善レベルではなく、革新的アイディアの提案を出す実績や能力が、社内でもある程度知られている社員
そういったスター社員と上司による評価が高い社員は重複があまりなく、ほぼ関係がないということです。
つまり、スター的な結果を出していても、必ずしも評価が高いわけではないし、評価が高いからといってスター的な結果を出しているわけではないのです。
意外かもしれませんが、高い評価と素晴らしい結果とは相関関係があまりないのです。

ではいったい評価とは何なのでしょうか。
会社の人事制度としての評価と、実際の会社や組織における評判は必ずしも相関しないわけですから、評価を絶対視しないことは大切になるでしょう。
しかし、だからといって、評価を無視して馬耳東風も困りものです。
評価は主に上司の自分に対する意見ですから、素直に耳を傾ける価値はありそうです。

せっかくもらった意見ですから、耳を傾けたうえで、あらためて自己評価を見直す必要があります。
見直すとは単純に上司評価を受け入れることではありません。上司評価を参考にしつつも、できるだけ客観的に、つまり事実をあらためて確認したうえで、適切だと思う価値基準に基づき再度自己評価を行うのです。
評価に納得するかどうかは問題ではなく、第三者になったつもりであらためて事実と価値基準の再確認が大切なのです。
事実はすでに明らかにしていると思うことが多いですが、案外自分に都合のよい事実だけだったりします。また、適切な価値基準と思っていても、自分の考え方が中心になっていることが多く、適切さの観点で偏っていることも少なくありません。

評価とは上司の自分に対するある特定の見方なのであり、そこから何を引き出して自分のものにするか、その点が評価の価値ある使い方、活かし方の分岐点でしょう。

スター社員は必ずしも評価は高くないのです。