実践共同体と聞いてすぐにわかる方は人材開発や組織開発に詳しい方でしょう。一般的にはよく知られているとは言い難く、あまり聞き慣れないかもしれませんが、実際には組織内外に案外多く存在している活動です。
わかりやすく言えば組織の内外にある「学びのコミュニティ」のことをいいます。
公式の組織とは別に、様々な課題を扱うために自主的にメンバーが集まり、協働して課題解決や知識の拡大を図ります。「勉強会」や「研究会」などは最も一般的な例です。
実践共同体では、「テーマに関する理解の深耕」、「組織の壁を超えた協働」、「新たな創造(サービス、商品、プロセス)」、「革新的方法の確立」など通常の仕事のプロセスでは取り組みにくいことを扱うという特徴があります。換言すれば、日常では扱いにくいので、敢えて集まって扱うということです。
共同体活動を通じて知識を拡大・共有し、メンバー間の相互作用を通じて新たな「何か」を生み出すのです。知識の共通の基盤を確立するとともに、そこから従来とは異なる考え方を生み出す努力を惜しまないことが、実践共同体を実効性あるものにするためには必要です。
実践共同体は必ず次のような3つの構造をもちます。
【領域】
実践共同体には、メンバーが共通に関心を寄せる特定の知識の「領域」があります。この「領域」によって繋がっている集団であることから、「領域」は実践共同体の構造上欠かせないものです。
【コミュニティ】
実践共同体には、ある「領域」についての知識や考え方を共有しながら、その領域における問題を共に扱っていく「コミュニティ」があります。そこには、信頼に基づく互恵的関係があり、1人ひとりの自発的活動が実践共同体の基本的条件となります。
【実践】
実践共同体には、ある「領域」において、「コミュニティ」が実践的に生み出し、共有し、維持する特定の知識があります。また、参加者は実践者であるため、実践することそのものがコミュニティへの参加になります。そして、実践共同体の活動を新たな価値に転換できるかどうかは、まず自分が所属する組織において、実践共同体から得られたことを実践することが求められます。
学問からの知見をもとに説明したので、少し硬い表現になりましたが、要は自分が所属する組織を出て、共通の「領域」をもつ社内外の実践者集団のなかで切磋琢磨するということです。
社会が複雑化し、変化のスピードも速い現代では、こうした組織の壁を越えた協働は、新たな価値を生み出すためには必須といってもいいでしょう。
参加している「実践共同体」はありますか?