この3つの言葉を見て、どう感じるでしょうか。
これは、カナダの経営学者ヘンリー・ミンツバーグが20年ほど前にリーダーシップのトライアングルとして使い出した言葉です。
3角形の底辺にサイエンスとクラフトがあり、頂点にアートを置いています。
サイエンスとクラフトは仕事をするうえで必要なことはすぐ理解できると思いますがアートはどうでしょうか。
ビジネスにアートは不要、あるいはあまり意識したことがないと答える方もいるのではないでしょうか。
サイエンスは科学ですが、ミンツバーグは分析的思考を指しており、MBA(経営学修士)では教育の中心であり、実際にビジネスの現場で使わない日はないと言っても過言ではないでしょう。
ちなみに、ミンツバーグはMBA 教育は分析的過ぎる、科学的思考に片寄り過ぎるとしてこき下ろしており、日本が真似をしないように警告してくれています。
クラフトは現場力です。現場を理解することなしにリーダーシップは発揮できない、発揮すべきではないという
ミンツバーグのこだわりです。クラフトという言葉から職人仕事の匂いも感じます。
アートは直訳すると芸術ですが、仕事に芸術を持ち込むという意味ではなく、直感的に考える能力を指します。
私は統合する、止揚する能力と解釈しています。
よくわからない状況だけど、こっちへ行ったほうがよい、こう考えた方がよいと思うのは、脳のなかで無意識に関連するであろう情報を統合し、場合によっては止揚して新しい方向や考えを導いているのです。
私たちの脳は無意識下で働くことが多いことがわかってきており、自分で思う以上に脳は優れた働き手なのです。
優れたリーダーはこの3点のバランスが絶妙で、状況に応じてうまく使い人々を導いていくのだと指摘しています。
ビジネスの現場では将来予測が難しいなかで、つまり、限られた情報のなかで決断を迫られることが多くあります。そんな時に我々はそれまでの様々な経験をもとに直感に頼るのではないでしょうか。
分析資料がないから、現場経験がないから、という理由で判断を避けることが許されるのであればいいかもしれませんが、スピードが求められるなかで判断保留が許されることはそんなに多くないでしょう。
では直観力を磨くためにはどうすればいいのでしょうか。
日頃から現場力を高め、分析的思考をより良く行う。必要な行動ですが、それだけでは不十分です。
なぜなら、日頃の仕事の範囲でしか経験が積めない、限られた情報や考え方しか脳に保存できないからです。
私は仕事以外のことをいかに楽しんで行うか、が肝心だと思います。
山口周氏が著書「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか」で述べていますが、絵画、文学、詩に親しむ、哲学に触れるのは基本線、つまり脳内活動をいっそう活性化するための必須行為です。
加えて、私は散歩、ハイキング等の自然に親しむ行為や座禅や瞑想、スポーツ全般といった精神や肉体に迫る行為も脳内の情報管理に何らかのよい効果をもたらしていると考えます。
もしそうでなければ昔から多くの人が親しんでいる理由がわかりません。
ありきたりな答えかもしれませんが、仕事だけをしていてもよい仕事人にはなれないというパラドックスをいかに体感し、実践し続けられるか、なのだと思います。