人事評価を相対評価で行っている企業は多いのではないでしょうか。
多くの場合、Sランク5%、Aランク10%などと分布割合を決めて実施しています。
誰が優れているのか、昇給、昇格などを決めるには序列化、相対化せざるを得ないから、
絶対評価では人件費がかさむなど、経営管理上の理由でそうしているところが多いのではないでしょうか。
私がいた組織でも、相対評価の欺瞞性を役員に進言したら、人事考課とはそういうものだ と一蹴された経験があります。
分かっちゃいるけどやめられない、といったところでしょうか。
しかし、人事考課の最大の目的は人材育成面にあるはずです。
どの会社の人事考課規程を見ても、目的に人材育成が書かれていない会社などありません。
ではいったい人材育成に相対評価は役立つものなのでしょうか。
相対化、序列化により、自分の位置を知らしめ努力を促すという考え方もないわけではありませんが、有効なケースは限られるというのが人文科学の常識でしょう。
ましてや、相対化が人材育成にとても効果があるなどと主張した論文など私は見たことはありません。
しかしながら、会社や組織では相変わらず相対化、序列化に一所懸命です。
相対化には人材育成上の効果はほとんどなく、経営管理に必要なだけです。
昇給、昇格、人件費管理の重要性から何らかの方法でそれらを公正、公平に行う必要はあるでしょうが、人事考課上で、それも人材育成面で効果が期待できない方法で行う必要はないでしょう。
本当の人材育成は、1人ひとりに向き合うことが肝心ですから絶対評価がベースになります。
もちろん育成には評価が必要で、そこにはしっかりとした評価軸がないとできません。
したがって、評価する側も充分な経験のもと、会社が求めてくる評価軸と自分なりの評価軸を整合させた、いわば高い見識が求められるのです。
社会活動は、学校の入学試験などと違い、相対序列など本質的には必要としない世界です。
相対序列の誘惑に駆られるのは、学校時代の経験がさせているのか、経営管理に絶対必要と思い込んでいるのかよくわかりませんが、私には機械的で人間性からは距離がある、いやな感じに思えてならないのです。