令和元年の内閣府調査「国民生活に関する世論調査」で働く意義を聞いています。
それによると一番多かったのが、お金を得るため51%です。
社会の一員・務めを果たすため14.7%、自分の才能・能力発揮のため8.8%、生きがいを見つけるため17%と続きます。
日本人の労働観はずいぶん変わってしまったのではないかと思います。
真偽を確かめるべく、同じ調査の過去の結果を調べると、平成11年ではお金33.7%、社会の一員16.9%、自分の才能10.9%、生きがい35.3%でした(これ以前は質問が異なるため遡れませんでした)。
生きがいが今の倍で、お金を得るは6割くらいでしょうか。ずいぶんと違います。
この頃はバブルが崩壊し、金融不況の終わりは見えたとはいえ、日本企業は先行き不安に苛まれていた時代でした。
しかし、まだ将来への希望はあったのだと思います。
日本人の給与が上がっていないことはすでに広く知られていますが、あらためて調べてみると、以下の実態が明らかになります。
(OECD調査、1990年と2019年の平均給与比較、ドイツのみ1991年と2019年)
アメリカ4万6千ドル→6万5千ドル
英国3万1千ドル→4万6千ドル
ドイツ4万ドル→4万7千ドル
日本3万6千ドル→3万9千ドル(ちなみにお隣の韓国はすでに4万2千ドルを超えています)
日本では過去30年間GDPがほとんど増加していませんから、給与が上がらないのは仕方ないという意見はあるでしょう。
しかし、企業の財務状態を見ると本当にそうなのでしょうかという疑問が湧いてきます。
財務省の法人企業調査によると、企業の配当金は、平成13年が4兆4956億円で令和元年は28兆4126億円です。今は20年前の7倍、金額にして25兆円も増加しているのです。
さらに上場企業の役員報酬額についていえば、1億円以上の報酬をもらっている人数は2013年292名であったのが、2020年では530名と倍近い増加ぶりです(1億円以上の開示義務は2010年からです)。
企業の内部留保額も相当積みあがっていますから、従業員の給与を韓国並みにすることはすぐにできるはずです。
配当金と役員報酬の大幅増額は実現したのですから、今度は(本当は先にやって欲しいですが)従業員の給与をあげることを中心課題にしないと、ますます“お金を得るため”に働く日本人が増えていくでしょう。
低く抑えられている実態を考えると、お金を得るために働く(働かざるを得ない)と考える人が増えるのも妙に納得してしまいます。