厚労省によると、2020年に長年上昇を続けてきた非正規雇用者の割合が減少に転じました。

非正規雇用者の割合は2004年以降30%を超え、それから2019年まで上昇を続けてきましたが、

やっと天井に達したというのは早計かもしれません。

ご承知の通り、昨年はコロナの影響で、飲食業を中心に雇用環境が非常に悪化したため、

飲食業の雇用の中心であるアルバイトやパートの大幅な減少が影響している可能性があるからです。

 

2020年の非正規雇用者は2,090万人で雇用者全体に占める割合は37.2%でした。

非正規雇用者は1989年には19.1%だったのですが、派遣法の対象職種拡大と歩調を合わせるように増加し、

2004年31.4%と30%を超え、2019年には38.3%と89年の倍となりました。

80年代はもちろん、90年代でも非正規雇用者はいわゆるアルバイトで臨時的な職務を担当する人達が中心で、

ほとんどの仕事は正規雇用者が行うものでした。

 

そうした状況が変化し非正規雇用が増え始めたのが96年、99年の派遣法改正による派遣対象業務の大幅拡大の時期です。

これにより、多くの仕事が派遣社員で行うことが可能となりました。

派遣社員の雇用は不安定と言わざるをえず、その割合が上昇し続けることは社会の安定にとっては疑問符がつきます。

そのため国では、期間制限に加えて正社員化の義務付けを定めましたが、抜け道もあり、

どこまで徹底されるかははなはだ疑問といった状況です。

 

非正規雇用の中身を見てみると、実は派遣社員は6.6%と多くなく、パートとアルバイトで70.5%を占め、

契約社員が13.3%、嘱託社員5.6%、その他4.1%となっており、派遣社員による影響は少ないようにも見えます。

しかし、派遣法の制定、改悪(対象業務の大幅拡大)によって雇用の不安定な人々の増加を法的に認めたことで、

企業はアルバイトやパート、契約社員などの非正規雇用を増やすことに舵を切ったのです。

いわば、国が臨時雇用を拡大することにお墨付きを与えたのです。

 

そうした転換はバブル崩壊による経済的な理由が大きかったのでしょうが、

最近益々増え続ける企業の内部留保額、配当金、純資産(負債は90年代より増えていません)、経営陣の報酬などを考えると、

その資金を正規雇用の増加になぜ回さないのか、理解できません。

 

人がすべてと言いながら、人をコストと考える悪しき習慣が日本企業に根付いてしまったような気がしてどうにも気持ちが悪く、

非正規労働者の減少を見ても、コロナによる一過性のことと考えてしまいます。