一年振りに友人と再会した。彼女は私の尊敬する外国人ジャズボーカリストで、私の目標でもあり、また大事な友達でした。チョット前までは地元のライブハウスでも大活躍していた彼女です。一年振りの彼女は、生き生きと元気そうでした。彼女が突然言いました。
「もう歌うのを辞めたよ」
「えっ‼何があったの?」びっくりして尋ねた。
「ある時期から急にハートの奥がチクチクと痛くなって、メンタルな理由だと気がついた。その理由を自問自答しているうちに、歌を辞めようという結論がポンと出てきた。そうしたら、身体がホッとして、胸の苦しさがとれ、凄く安心した」と笑った。その吹っ切れたような笑顔を見たとき、ああ、本気なんだ、と思った。
私の前では笑っていたけど、この結構に至るまで、彼女は声も枯れる程、心が軋む程、苦しんで悩み抜いて結論を出したんだろう。その会わなかった一年という時間の重さを思うと、涙が出そうになった。
以前、ジャズのボーカルスクールで勉強していたとき、私は本当にポンコツになった。先生の教える通りに声もでない、グルーブもできない、スィングもできない。あがいていりはうち声も枯れ心も枯れた。そんな時期に彼女と出会った。
「ねぇ、自然の風の音を聴いてみて。風は木の葉を揺らし音がでる。川も自然に流れせせらぎをつくる。木や川は良く聴かせようとかしていないだろう?私だから、お前も身体の中に風が吹き抜けるように歌えばいい。それがお前の自然でリアリティがある音楽なんだ。お前の音と、お前の物語を私に聴かせて、と彼女はマイクを渡して、背中を押した。その時、胸の奥がじんと熱くなった。
その時から、私は少しずつ、変わりはじめた。
私の声は細く、パワーもなく、響きも乏く、グルーブも貧弱だけど、これて良しとしよう。もう何か別の何かになろうとあがくのはは辞めよう。そう、決心した。
それから、周りに見える風景が変わりはじめた。私は嫌いだった自分の声が好きなりはじめ、下手でも嘘がなく、シンプルにナチュラルに、丁寧に歌えば良い。素直に歌っていこう、そう決めました。
彼女は私の恩人です。
彼女に出会えたことを感謝して、そして教えてくれたことを大事にして、ちっぽけな私の音楽だけど、彼女が渡してくれたバトンを大事にして、歌っていきたい。
今、歌える健康な肉体があること、周りに聴いてくださる人がいらっしゃること、一緒に演奏してくださる仲間がいること、その場所をくださる人がいること、本当にありがたく思った今日でした。
未熟な私ですが、どうか今年もよろしくお願いします。m(_ _)m
長文に最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございます。
