ProCo RAT2 Serial Number and Op-Amp  一覧

 

 

の続きです。

RAT2以降のシリアルナンバーとオペアンプ

 

 
 
 
補足説明としてCTSポットのコードの読み方ですが
RATに使われているCTSポットには
ER3977 1378211  (1979年後半から1982年前半まで)
ER3977 R1378922  (1982年後半から1996年まで)
ER3977 9833 R0C  (1998年)
ER3977 0044  (1999年から2002年中頃まで)
の4パターンがあります。
 
ER3977 1378211  (1979年後半から1982年前半まで)
ER3977は部品コード(Part Code)。全てに共通です。
137は米国電子工業会にてCTS社に割り振られた製造元コード(EIA Production Source Code)。CTS社製である事を表しています。
8211はDate Codeで1982年11週目に製造という意味です。
(EIA Production Source Code と Date Code について詳しくは下記サイトにて当時の資料を参照して下さい。)

 

 

 
ER3977 R1378222  (1982年後半から1996年まで)
1982年中頃以降からはRが付く様になります(Rが何を意味しているのかは不明)。
上記の書き方ですと、CTS社製の1982年22週目製造という意味になります。
 
ER3977 9833 R0C  (1998年)
1998年のCTSポットは台湾工場製造になり、R0Cの印字が最後に付くようになります。
(1997年のRATは見た事が無いので不明です。)
R0Cは0をOの代わりに刻印してあり、Republic Of Chinaの略だそうです(本当かどうか分かりませんが)。
じゃあ中国製かな?と思ってしまいますが台湾(中華民国)の事です。
中国はPeople's Republic Of China(中華人民共和国)です。
(台湾製のFERNANDESのギターには「Made in Taiwan R.O.C.」のシールがヘッド裏に貼ってあります。)
上記の書き方ですと、台湾CTS製1998年33週目製造という意味になります。
 
ER3977 0044  (1999年から2002年中頃まで)
ROCの刻印が付くのはCTSが台湾製造になった最初の1年だけで
1999年からROCの刻印は付きません(何か問題があったのでしょうか?)。
上記の書き方ですと、台湾CTS製2000年44週目製造という意味になります。
 
気をつけて欲しいのは、1988年22週目製造のポットを使っているからと言っても、必ずしもそのRATが1988年22週目製造という訳ではないという事です。
ProCo社で部品を仕入れてから製品になるまでタイムラグが生じます。
ポットを大量にストックして組み立てている訳ですから、シリアルナンバー順に綺麗に並ぶ訳でもありません。
3個のポットの製造週がバラバラのRATも多数存在します。
とは言っても、ポットの製造週よりも前に製品が作れる訳ではありませんし、ポットをストックしていても在庫となって資産として税金がかかってしまいますので、ある程度は正確な目安になります。
ここでは基本的に「ポットの製造年=RATの製造年」として話をしていますので、実際のRATの製造年とは誤差があります。
 
ProCo RAT 2に使われたオペアンプは、
Motorola LM308N
Motorola LM308AN
Motorola L308
National Semiconductor LM308N
National Semiconductor LM308AN
Texas Instruments LM308P
Texas Instruments OP07DP
Texas Instruments OP07CP
ST micro electronics LM308N (過去3~4台のRAT2で確認出来ましたが、2台は明らかに改造品だったので、STマイクロのLM308Nは公式には使用していない可能性が高いです。)
の9種類が確認されています。
 
2000年中旬にLM308系列のオペアンプは枯渇し、リイシュー以外はOP07DPになり、2002年末頃に筐体に傾斜(スラント)が付けられミニポット基板になります。
つまり、フラットボックスのOP07DPオペアンプの期間が2000年から2002年までの約2年間あります。
ノブが変わるのは2003年中頃になりますので、スラントボックスのノーマルノブの期間が更に約1年間程あります。
過渡期仕様としてCTSポット基板のスラントボックスRATも存在します。
(上画像参照)
 
ミニポットは中国製ですが、2006年もしくは2007年頃までは組み込みがアメリカ工場なので、シリアルナンバーにはMade in USAの印字があります。
2007年から2008年頃にNeutrik(ノイトリック)の中国工場で生産から組み込みまで委託される様になって完全中国製になり、シリアルナンバーに生産国の印字がなくなります。
完全中国製になってからオペアンプがOP07DPからOP07CPに変更になります。
 
2010年3月11日に社長のCharlie Wicksが65歳で癌で亡くなられた為、ProCo Sound,Inc.は2010年11月19日付けで RHC Holding Corporation (Rapco Horizon Company 等) に買い取られました。
 
当時(2010年11月23日)の ProCo Sound,Inc. が RHC Holdings に買収された時のニュース。
2017年11月に RHC Holding Corp は照明機器輸入大手の ACT Lighting 傘下に入り、この時RATはセンターマイナスのDC電源ジャックの筐体に変更(Solo以外。Soloは内部構造上センターマイナスのジャックが入らないとの事。)になっています。
 
(ラスベガス(2017年11月17日) – エンターテイメント業界へのテクノロジーの大手輸入販売業者である ACT Lighting, Inc. は、RHC Holdings Corp. ( RapcoHorizo​​n ) の買収を完了しました。) 当時のニュースのアーカイブ。
ジャックやプラグで有名なノイトリック(NEUTRIK)の中国工場で生産されている事を生かし、RAT内蔵シールドケーブル(RAT TAIL Distortion)が2018年1月のNAMMショウでRapcoHorizon (RHC Holdings)から発表になったりしました。
 
2021年6月、ACT Lighting と RHC Holdings は新たに ACT Entertainment という会社を作り、そこでRATブランドとProCoブランド、RapcoHorizonブランド等を管理すると発表。
2021年12月、小さくなった「LIL' RAT」発売。
 
以前のProCo公式サイトには2008年から中国製になると記載されていましたが(英語版Wikipediaにも記載あり)、
実際には2006年から中国製になっているとの情報もあり、その辺は不明です。
2002年末に年代刻印無しの中国製ミニポットになってしまうので、年代特定が難しくなります。
 
RAT2におけるDBシリアルもProCo DBー1(ダイレクトボックス)のシリアルナンバーの流用だろうと思われます。
同様に、2003年頃のBRシリアルのRAT2はBRATに使用したシリアルナンバーの残りの流用だと思われます。
 
1991年から1993年ぐらいまでの間にシリアルナンバー欄がBlack DotとなっているRATがありますが、それはこれです。(こちらは既に売却済み)
 
 
 
シリアルナンバーが剥がされていて、代わりに黒い丸いシールが貼ってあるんですね。
(オペアンプは微妙にレアなテキサス・インスツルメンツのLM308P)
代理店のシールが無いですし、並行輸入のB級品の印だと思います。
箱のシリアルも剥がされています。
たまにヤフオクとかデジマートとかでも見かけます。