薬局の店内をぷらぷらしてると
なつかしい薬が目にとまった
「この薬、まだ売ってたんだ」と購入して帰った。
この薬には思い出がある。
小学校2年か3年生のある朝
起きたら背中の一部に痛みがあった。
痛くて寝床で泣いてるところへ
かあちゃんが来て
背中を見て
あわてて薬局へ走ってくれた。
「これ、アメリカの薬やって」と
薬を塗ってくれると
痛みがぴたりと止んで何事もなく登校ができた。
魔法のように効いてくれたこの薬、
あの時の痛みは1度きりだったけど
しばらく自分のお守りのような存在になっていた。
数十年を経て、再びこの薬を手にすることになって
ふと
あの時はおそらく
母に「ありがとう」も言わずに登校したはずだ と思い出し
この朝の出来事を忘れていたわけではないから
思い出した時に
早朝にもかかわらず、すぐ薬局へ走ってくれた母に
感謝を伝える機会は山のようにあったのに と
後悔はつのるばかり。
残念ながら
かあちゃんは他界していて伝える術は
もうどこにもない。
言えなかったありがとうの気持ちをのせて
この薬は
今日からまた私のお守りになるんだろうな