◆停止を味わう◆
無がいい
なにもしないことが
いい
せっかく受け取った
ぽかんと空いた
時間ならば
ぽかんとするのがいい
ぽけっとするのがいい
寝ることさえもしないで
瞑想だって
すると言ってすれば
それは
したことになって
しまうから
あえてなにもしない。
わたしはときどき
本当になにもしないことをおそれて
なにかをしてしまう
覚悟して、
肚を決めて
本当にただひたすらに
なにもしないで
死体のように
ぽかんとしていれば
宇宙がぽかんとやってきて
銀河で抱きしめてくれる
まるで無限の胎内みたいに
なまあたたかいなにかを。
。
。
ただそのままに
それを
感じることさえも
やめて
ほうっておく。
自分も時間も
世間も
なにもかもほうっておく。
ほんとうに
とことんからっぽになるからこそ
時がきたら、
時の方から
私に向かって
つぎの密度がやってくる
ほんとうにゆるむからこそ
つぎのするどい動きがおとずれる
。
かんぜんに放棄して
なにもしないことを
おそれないで
体験してみれば
こどくや
たいくつや
むなしさを
底つきまで
知ることになる
。
そこから逃げたくて
何かを詰め込もうとしてしまうのを
やめて
誰かに無性に会いたい衝動を
放棄して
耐えて
無にもぐる
。
しずかに
しずかに
無のなかに入る
そして
自分自身も
まるごと
無になる
死んだように
。
なにもしない
なにもしない
なにもしないことさえも
なにもしない
。
そのとき
肉体という
境界線がとけて
感情が消えて
頭がなくなって
自分も含めた
すべては
粒子となり
空間に溶ける
またいつか
時がきたら
あるきだし
あらたになにかを
はじめたときに
あたらしい
せかいがはじまる
。
#ゆるゆる散文詩
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