何ともおぞましいタイトルだが、米国発の世界金融危機(2007年~2010年)を予言したことから「Dr. Doom(破滅博士)」と呼ばれることとなった米国ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ名誉教授の著書。「積み上がる債務」、「通貨暴落と金融の不安定化」、「大スタグフレーション」、「人工知能」、「米中新冷戦」など10項目の脅威を取り上げ、各々に詳細な説明と説得力のある予測をされている。



2022年11月に刊行された単行本に「あとがき」を加え、本年2月に発行された文庫本のようだが、読み進む内に、「2024年以降に米国に誕生する可能性のある共和党政権がイラン核合意再建交渉を拒否したら、最終的に戦争になる可能性は否定できない。イスラエルからすれば、核武装したイランは自国の存続を直接脅かす存在」という文章が出て来た。さすがにドキッとしたが、確かに予知能力を感じさせる博士だ。

 

本のテーマは「経済」だが、最後は「気候変動」について書いておられる。その中で、予測ではなく現在進行形の脅威について触れておられるので、いくつか紹介したい。

 

「地球はいまや年間1.2兆トンの氷を失っており、ペースは一段と加速しそうだ。氷が溶けて海水になれば、多くの陸地が浸食される。」


「世界を見渡すと、最も多くの人口が沿岸部に住んでいるのは中国である。海面上昇が起きたら、1億3000万人の家が水没し、移住を迫られることになる。インドでは5500万人だ。又、バングラデシュでは4100万人がほぼ海抜ゼロメートルの土地に住んでいる。」


「シベリアで溶解した永久凍土を調べたところ、炭疽菌の急増が認められた。凍土に閉じ込められていた天然痘ウィルスの近縁種が活動を始める可能性もある。」

 

経済も大事だが、生命あっての経済だと思う。子や孫に安全で美しい地球を残さねば申し訳ない。