新鮮な感動を覚える素敵なコンサートだった。開演時、ステージに現れたのは田村麻子さんではなく、この春、大学生になったばかりという4名からなる弦楽カルテットで、ハイドンの弦楽四重奏曲ハ長調「皇帝」の第1楽章を実に軽やかに演奏された。こんなに素敵な若者がいるのかと、ちょっと嬉しくなった。
これが第一部の幕開けで、続いてステージに出てこられた田村麻子さんは、7つの異なる言語で書かれた歌を順に歌っていかれたが、その伴奏も弦楽カルテットが務め、耳に快い演奏になったように思う。又、曲と曲の合間には自らを「春風」と呼ぶストーリーテラーが軽やかに現れ、私たち聴衆を次の曲へと案内されたので、言語や背景は違えども自然に次の曲へと移れたように思う。私はフォーレの「夢の後に」に最も心を揺さぶられた。
第ニ部は江澤隆行さんのピアノ伴奏で日本語の歌を4曲歌われたが、歌詞が分かると情景が浮かぶ。木下牧子さんの「竹とんぼ」では「トンボより飛行機よりも空が好きになったらどうしよう」、村井邦彦さんの「つばめが来る頃に」では「今年も巣を作る、そこで雛鳥育てて南に帰る」に鮮やかなイメージが湧いた(村井邦彦さんが来場されており、麻子さんから紹介されて歓迎の拍手を受けておられた)。
その後、再び弦楽カルテットが登場され、メンデルスゾーンの弦楽四重奏のための4つの小品第1番を演奏されたが、バイオリンだけではなく、ビオラとチェロの音色も美しくて感動した。次に麻子さんがオペラから3曲を歌われたが、プッチーニ「ラ・ボエーム」の「私が街を歩くと」がとても良かった。もう一度聴きたい(笑) アンコールの「朧月夜」も美しく清らかな演奏で感動した。
この間は三大学OBジョイントコンサートで音楽をこよなく愛する元気な高齢者を拝見したし、今回はベテランと新人が共に作り出せる音楽を聴かせてもらった。音楽には素晴らしい力があると思う。
