チャールズ・グッドハートさんという経済学者の著書「人口大逆転」を読んだ。これから世界で何が起こるかを書いておられるが、これまで気付かなかった視点から見ておられることが分かり、大変勉強になった。こんなまとめ方をすると、グッドハート博士から叱られるだろうが、平たく言うと「モノやサービスが安い時代(ディスインフレ)は終わり、高い時代(インフレ)が到来する」かなと思う。
 
 
1990年から2017年までの間に、中国の労働年齢人口(15~64才)は2億4000万人も増加し、又、1989年にベルリンの壁が崩壊したことで東欧からも新たな労働力が世界経済に参入した。更には女性の社会進出が進んだこともあり、1990年から2020年までの30年間、世界は豊かな労働力に恵まれることになった。
 
これを労使関係で見れば、経営側は安い賃金で労働者を雇えることとなり、これが「安い時代」を下支えした。しかし、その後に起こったグローバリズムの進展で国家間の所得格差が改善される一方で、先進国内では所得格差が拡大し、特に職を外国や移民に奪われたと考える労働者の不安や不満からポピュリズムやナショナリズムの潮流が起こる、と博士は説かれる。う~ん、思い当たる節があちらこちらにある。
 
しかし、変化が留まることはなく、最も豊かな労働力を提供してきた中国も出生率の低下と高齢化が始まって労働年齢人口が減少していくし、労働者の賃金も経済発展で上昇している。その結果、安い労働力を失う世界ではインフレが起こり、そのインフレを抑えるために、高金利の時代がやってくる・・・そういう厳しい予測をされているのだと理解した。アメリカも日本も政府は大きな借金(国債)を背負っているだけに、金利が上がれば利払いが更に大きな負担になる。そういう時代になるのかどうか、しっかり見ようと思う。