第二部では映画音楽作品から「ポル・ウナ・カベサ」(映画「セント・オブ・ウーマン」より)と「サンライズ・サンセット」(映画「屋根の上のヴァイオリン弾き」より)、ギター独奏のために作曲された F. タレガの「アルハンブラの想い出」、ヴィエニアフスキの「モスクワの想い出」、サラサーテの「バスク奇想曲」を演奏された。
「アルハンブラの想い出」は、どうすればその音をそのタイミングで出せるんですか、と尋ねたくなる不思議な演奏だった。川畠さんの説明によると、元々は5弦あるギターの独奏用に作られた曲で、しかもトレモロ奏法というギターでも難しい曲を4弦しかないバイオリンで弾こうというのだから無理があるし、大変な技巧を要するとのことだったが、それは川畠さんの右手や左手の動きからも明らかで、演奏を聴くというより川畠さんの動きに目を奪われる展開となった。
第二部で最も感動したのは「ポル・ウナ・カベサ」だ。川畠さんが演奏を始められた瞬間、「ヴァイオリンが語り始めた!」と思った。映画「セント・オブ・ウーマン」を観ていたこともあるが、アル・パチーノが演じた盲目の軍人が目に浮かび、彼の壮絶な生きざまや正義感、怒りや悲しみ、厳しさや優しさがひしひしと伝わってくる演奏だった。
この「ヴァイオリンが語り始めた」という感覚は、アンコールで演奏されたマンシーニ作曲の映画「ひまわり」のテーマでも味わうこととなった。映画「ひまわり」の場面が思い出され、ソフィア・ローレンの寂しさや苛立ち、悲しみや喪失感がひしひしと伝わってきた。見事だった。
