田村麻子さんのコンサートに出掛けた。
古今東西の名曲をたっぷり・・とのことで、第1部はグノー/バッハの「アヴェマリア」とカッチーニの「アヴェマリア」から始められ、その後、「七つの子」「赤とんぼ」「朧月夜」など日本の歌6曲を歌われた。ずっと目を閉じて聴いていたが、「赤とんぼ」では、亡くなった父が入浴中に気持ち良さそうに歌っていたことを思い出し、ちょっと胸が熱くなった。
「朧月夜」は、元駐日大使のキャロライン・ケネディさんを前に、あるイベントで歌われたことがあるらしい。感動されたキャロラインさんから声を掛けられたそうだが、確かに言葉を超えた情感が伝わってくる歌声だった。
初めて聴いた曲、「霧と話した」では不思議な感覚に包まれた。麻子さんは「失恋の歌か?」と思われ、ピアノ伴奏の小島さやかさんは「愛する人を亡くした歌では?」と思われたそうだが、私は「大事な人の失踪では?」と思う。行き先も理由も告げず、何かサインらしきものがあった筈だが、大事な人が突然いなくなる。今や生死も分からないから、その人のことは忘れ、前を向いて歩もうと思うが、やっぱり気になり、霧に尋ねてしまう。曲が途中で少しの間、長調に転調するのはそういう心の揺れを表しているのかなと思った。
(続く)
