「アルプスの少女ハイジ」や「火垂るの墓」を製作されたアニメーション映画監督、高畑 勲さんの言葉には頭をガーンと殴られたような気持ちになった。
高畑さんは1985年、宮崎 駿さんと共にスタジオジブリを設立され、その3年後に「火垂るの墓」を公開されているが、戦争に翻弄される兄妹を描いたこの作品には、高畑さんが9才の時に体験した岡山空襲の記憶が色濃く反映されているとのこと。「たくさんの死体を見ました。それを見て、もう本当に震えが止まらないんです。もし岡山空襲を体験していなければ、ああいう作品を作ろうとは思わなかったかもしれません」
そんな悲惨な体験をされた高畑さんの言葉・・・
「和をもって貴しとなす、というのは生きやすくていいことだと思うんです。しかし、それによって何かこう大事な局面を誤ってしまう危険性というのはある。あんなところと戦争したって勝てっこないよ、と言っていた。ところが始まっちゃったら、みんな大賛成になったんです」
「空気をすぐ読む。驚くべき同調気質。これらは残念ながら今も少しも変わっていません。私は自分を含め、この体質と気質が本当に怖いです」
宮崎 駿さんの「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」など次々にヒットするファンタジー作品に対抗するかのように、高畑さんは「平成狸合戦ぽんぽこ」で農地や山林の無秩序な開発に警鐘を鳴らし、動物や自然と人間の共存を訴える作品に注力される。そして70歳を超えてから、日本古来の物語「竹取物語」を読み替え、一人の女性が生きることの困難や怒り、悲しみを描かれたとのこと。真っ直ぐに伸びた高畑さんの背骨を感じた。
