同志社混声合唱団でご一緒している I さんが出演されると聞き、チケットを分けて頂いた。I さんのお話では、藪田翔一さんという新進気鋭の作曲家が合唱団「歌の花環」のために作曲された「祈りの刻(いのりのとき)」が出版されることになり、それを記念する演奏会とのことだった。
第1部は中原中也や竹久夢二の詩に薮田翔一さんが曲を付けられた作品4曲が歌われたが、「夏の日の歌」(詩:中原中也)は透明な直射日光が感じられる夏の歌だったし、「雪が降ってゐる」(詩:中原中也)ではしんしんと降り積もる雪が感じられる冬の歌だった。文字の羅列である詩からどうしてこのようなメロディーが浮かんでくるのか、本当に不思議に思った。
第2部はソプラノの真野綾子さん、テノールの下村雅人さん、ソプラノの菅原直子さんが薮田翔一さんの作品を2曲ずつ披露された。詩はいずれも中原中也のものだったが、パンフレットに記載されている歌詞を読むことができたので、あぁ、なるほど、そういう歌だと感じ入る作品ばかりだった。
圧巻は第3部の「祈りの刻」で、平成の30年間を振り返り、バブルエコノミーの時代、その崩壊と混乱、そして再生が7つの時代に区切られて表現された作品とのことだった。以下、私は各々の時代をこのようにメモしている。(1)不気味な不協和音、(2)理性の感じられない大きなエネルギー、(3)重い目覚めと後悔、(4)クールダウンと迷い、(5)孤独、(6)再生への決意、(7)前進。歌詞から意味をくみ取ることもできるが、メロディーから受ける印象はストレートで大きい。それを実感できるコンサートだったように思う。I さん、素晴らしいコンサートでした。ありがとうございました。
