雑誌に紹介されていた加来耕三さん著「歴史の失敗学」を購入した。源義経、武田信玄、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、明智光秀、石田三成など日本の歴史に名を残した英雄25人の失敗を取り上げ、そこから教訓を導き出しておられる。


織田信長は義弟、浅井長政の離反に遭い、金ヶ崎で前後を阻まれる袋のネズミ状態に陥る。そうと知るや、信長は部下や友軍を置き去りにして戦線離脱して命からがら逃げるが、天下布武をほぼ成し遂げたという信長の慢心が失敗を招いたとおっしゃる。
確かにその通りだと思うが、それから僅か十年後に信長が本能寺で明智光秀に襲われ、命を落としていることを考えると、信長は失敗から学ぼうとせず、慢心すると油断してしまう自信過剰の人物だったという、つまらない信長像になってしまう。
信長は日本の未来に明確なビジョンを持っていたし、彼からすれば、明智光秀も豊臣秀吉もそのビジョンに共鳴している部下だと信じる一面があったのではないか。桶狭間の合戦を除くと、信長は用意周到に準備してから戦に臨んでいるし、決して注意力が散漫な人物とは思えない。ただ、一旦部下として信頼すると、以後その忠誠心を微塵も疑わない性格だったのではないか。それを惜しいようにも思うが、だからこそ優秀な人材が集まり、世の中を大きく変えることができたという見方もできるように思う。