何のことかと思われるだろうが、アイヌの人たちが16世紀頃に海からの侵入者に備え、海岸沿いに築き上げた小さなお城・・というか土を盛り立てて造った砦のことらしい。納沙布岬からの帰りに立ち寄ったのだか、アイヌの人たちが動き回る姿を想像しながら不思議な感覚に包まれた。アイヌの人たちからすれば、私たちこそ侵入者で、ひょっとすると、「北方領土を返せと言う前に、北海道そのものをアイヌに返せ」と言いたかったのでは。
実際、アイヌの人たちと和人と呼ばれる本州からの移民の間で何度も争いや戦いがあったようだし、和人が厳しい条件でアイヌの人たちを働かせたことが原因だったとも聞いた。最後は和人が持ち込んだ天然痘でアイヌの人口が激減したというから、それが事実なら、北海道を返せ、平和な時間を返せ、と言いたかったアイヌの人たちも多かったろうと思う。
同じような話がアメリカにもあり、メキシコからの移民を問題にするなら、アメリカそのものを元々住んでいたインディアンに返したらどうだ、という皮肉があったように思う。かように国土や土地の問題は根が深い。生活を始め、家族ができれば、その地は文字通り重要なホームランドになる。その安全や生活が脅かされたら、きっと私だって黙ってはいないだろう。
(続く)
