30年来のお取引先であるBNさんにお邪魔した。BNさんは創業1879年という歴史のある会社で、明治維新から十年そこそこの時代にハンカチや手袋、洋傘など欧米ファッション雑貨の取扱いを始めておられる。進取の精神に富む会社だったのだろう。

さて、ハンカチの誕生は紀元前3000年のエジプトにまで遡るらしく、当時は身分の高い人のみが持てたらしい。その後、丸形や長方形などさまざまな形のハンカチが生まれたが、今の正方形が主流になったのはフランスのルイ16世の王妃、マリー・アントワネットが正方形を好んだからとのこと。


展示されていたハンカチの中で最も高価なものは「スワトウ」だろう。スワトウ(スワはさんずいに山、トウは頭)は東シナ海に面した中国の港町で、18世紀にイタリアからやって来たキリスト教の宣教師が当時貧しかったスワトウを見て、何とか豊かにしたいと思い、レースや刺繍の技術を教えて今に続く高級ハンカチ「スワトウ」を誕生させ、新たな産業として根付かせたらしい。全て手作業で一枚仕上げるまでに150日を要し、価格は10万円を超えるものもあると聞いたが、そんなの畏れ多くて使えない(笑)


一方では赤のハンカチがズラリと並ぶコーナーがあり、「ここはずいぶん色っぽいですね」と言ったら、「はい、貴婦人たちが口を拭うと口紅が落ちますから、パリの社交界では赤のハンカチが必需品だったようです」とのこと。なるほど。ハンカチにも歴史ありだ。